【鹿児島】3回戦 鶴丸 vs 鹿児島実
鶴丸が仲間を信じ、腕を振る<鹿児島秋季大会>
<第153回九州地区高校野球大会鹿児島県予選:鶴丸2-1鹿児島実>◇2日◇3回戦◇鴨池市民
鶴丸は1回、1番・向原 伸之介(1年)が中越え二塁打で出塁。送りバントで三塁まで進み、暴投で先制した。
4回にも先頭の3番・中村 仁(2年)が中前打で出塁し、送りバントで二塁に進み、2つの暴投で2点目を挙げた。
6回、鹿児島実は1死二、三塁から6番・西 悠太朗(2年)の遊ゴロで1点を返す。
鶴丸は5回以降、リリーフした鹿児島実のエース井上 剣也(2年)の前に追加点を奪えなかったが、エース松下 侑聖(2年)を中心に粘り強く守り抜く。再三のピンチも6回の1失点のみで切り抜け、1点差で鶴丸が接戦をものにした。
「言葉はないですね。適時打はない。それでも勝つことがある。高校野球ですね」。
鶴丸・福田健吾監督は力強く振り返った。得点は暴投で挙げた2点のみ。この2点を、エース松下を中心に粘り強く守り切った。
右横手の変則投法のエース・松下の好投が大きな原動力になった。強打の鹿児島実打線を6安打1失点。「強気で攻めて、打ち損じを狙う」(寺内幸大主将)投球が最後まで途切れなかった。
初戦の種子島中央戦、2回戦の鹿児島商戦、いずれも5回までしか投げられなかった。どちらにも打ち込まれ、鹿児島商戦は5点のリードを守れず、同点に追いつかれた。「球が抜けて、ボール先行の投球が続いて、守備のリズムも悪くしてしまった」と松下。この試合では「ストライク先行でいく。仲間を信じ、腕を振る」ことを意識し、気持ち一新、開き直って鹿児島実の強力打線に立ち向かった。
一冬で球に力がついた分、体が開いて制球が定まらなくなり、夏はベンチに入れなかった。体の開きを抑えるために取り入れたのが三塁方向に思い切り踏み出すクロスステップだった。直球の最速は120キロに届くかどうかだが、右打者の背中から思い切り内角を突く投球がこの日の生命線だった。
1、2回戦は「マウンドでも表情が固まって、自信を見失っていた」と捕手・寺内。この日は「笑顔を絶やさず、最後まで自信を持っているのが感じられた」という。5つの死球を出し、5回も先頭打者を出したが、強気の投球は最後まで途切れず、守備も良いリズムで守ることができた。
9回、最後の守りで初めてのエラーが出たが「ベンチも野手も慌てていなかった。顔を上げて、次のプレーを指示する声が出ていた」と福田監督。チーム一丸、全員野球の「鶴丸スピリット」を発揮し、強豪相手に貴重な白星をもぎ取った。