【徳島】決勝 徳島商 vs 鳴門
12年ぶり24回目の夏甲子園を決めた徳島商
徳島商が宿敵・鳴門を下し、12年ぶり24回目の夏甲子園へ!
<第105回全国高校野球選手権徳島大会:徳島商4ー1鳴門>◇27日◇決勝◇オロナミンC
準決勝では生光学園の最速153キロ2年生右腕・川勝 空人投手を攻略し、2年連続15回目の夏甲子園へ王手をかけた第1シード・鳴門か。それともノーシード発進から2回戦ではセンバツ21世紀枠出場の第2シード・徳島城東、準決勝で第3シード・阿南光の最速146キロ右腕・吉岡 暖投手(2年)を打ち崩して12年ぶり24度目の全国高校野球選手権大会出場まであと1つに迫った徳島商か。県内を代表する名門校同士の頂上決戦に、オロナミンC球場は例年以上の観衆と熱気に包まれた。
試合が動いたのは2回表だった。1死一、二塁で右打席に入ったのは主将の7番・森 煌誠投手(3年)。初球、鳴門先発の右サイド・真鍋 至憧投手(3年)の球が内よりやや高めに浮いたところを捉えた打球は、詰まりながらも右中間を破る2点適時二塁打に。森影浩章監督も「まさか打つとは思わなかった」と驚く、エースの自らを助ける一打で徳島商が先制した。
徳島商の攻勢はさらに続く。5回には1一死一、三塁から今大会絶好調の2番・横手 亮汰内野手(2年)の中犠飛で1点を追加すると、7回にも2死三塁から横手が中越え二塁打を放ち4点目。守っても先発の森煌が7回まで鳴門打線に対し自己最速タイ149キロの直球と「春以降使えるボールになった」130キロ台スプリット、120キロ台のスライダーと110キロ台後半のカーブを投げ分け、散発3安打無失点の好投を演じる。
8回に入るとついに鳴門の「うずしお打線」にスイッチが入る。この回は3番・豊田 凌平外野手(3年)の適時打で1点を返すと、最終回も代打・手塚 大晴外野手(3年)の右前安打などで1死一、二塁。8、9回だけで5安打を集中させ、ホームランが出れば同点の局面まで徳島商を追い込んだ。
しかし、森煌は春までの同じテンポで集中打を浴び失点を重ねる姿とは違っていた。マウンドを外す、けん制を入れる、そして微妙に球持ちを変え、変化球も駆使する。「侍ジャパンU‐18代表候補合宿で学んだ」勝てるエースの心得を体現した背番号「1」は、続く2人を凡打に。最後もスライダーでこれまでどうしても勝てなかった宿敵・鳴門を下し12年ぶりに夏甲子園への扉を開いた。
かくして5試合すべてでマウンドを譲らず45回593球を投げ被安打24・四死球12、44奪三振、失点、自責点はともに3、防御率0.60と圧巻の成績で聖地へと乗り込むことになった徳島商のエースであり主将の森煌。試合後には「高卒でプロ志望届は出しません」と改めて言い切った右腕が、甲子園でも注目投手に挙がるのは間違いない。