仙台二vs泉松陵
好救援で勝利を呼び込んだ仙台二・引地櫻人
仙台二が接戦制し2回戦へ!部員12人の泉松陵も大健闘
<第105回全国高校野球選手権宮城大会:仙台二7ー6泉松陵>◇10日◇1回戦◇石巻市民
県内屈指の進学校である仙台二は、泉松陵との公立対決を制し1回戦を突破した。6回に3点差をひっくり返されるも直後に追いつき、8回に奪った勝ち越し点を守り切った。
仙台二は本田 慎次朗投手(3年)、湯浅 太賀投手(3年)の「左のWエース」を擁する。昨秋の県大会でも2人の活躍が光り、8強入りを果たした。夏の初戦となるこの日は湯浅が先発。しかし守備の乱れも相まって、1、2回と立て続けに失点を喫した。
援護したい打線は1点を追う2回、1死満塁から1番・佐藤 亮佑内野手(2年)の適時打と2番・阿部 千慈内野手(3年)の犠飛が飛び出し逆転。3、4回もスクイズなど緻密な攻撃で得点を重ね、リードを広げた。
湯浅は5回で降板し、6回からは継投策に入った。いずれも公式戦初登板となる大西 優我投手(2年)、眞栁 悠希投手(2年)の2人で6回を抑える予定だったが逆転を許し、なおも2死二塁のピンチで左腕の引地 櫻人投手(2年)がマウンドへ。2年生投手陣の中では最も経験値が高いこともあり、相手の3番打者を落ち着いて空振り三振に仕留めた。7回以降も得意の縦スライダーを武器に奪三振を量産し、3.1回を投げ1安打6奪三振無失点と好投。相手に傾きかけていた流れを引き戻し、8回には小河 優真外野手(3年)の代打適時打で決勝点をもぎ取った。
仙台二の左腕は「Wエース」だけではないことを証明した引地。先輩2人からはフィールディングの技術などを教わることもあるといい、「先輩たちはワンランク上のレベルにいる。夏が終わるまでに吸収できるところは吸収したい」と意欲を見せていた。2回戦以降も継投の鍵を握る存在となりそうだ。
泉松陵はベンチ入りメンバー12人と少人数ながら善戦。初回にダブルスチールで先制点を奪うなど機動力を発揮したほか、小林 奏太外野手(2年)の3点適時二塁打で一時逆転した6回には打線の爆発力も見せつけた。
試合後、主将の矢野 颯汰内野手(3年)は大粒の涙を流していた。入学時、同期は4人だったが、1年の終わり頃に1人が退部し3人に。新チームになってからは3年生3人で後輩たちを引っ張ってきた。「人数が少なくてなめられることもあったけど、勝てると信じてこの夏のために頑張ってきた。勝てなくて悔しい」。勝利には届かなかった。それでも、3年間の努力は間違いなく観る者に伝わったはずだ。
(取材=川浪康太郎)