豊岡vs川越初雁
埼玉県西部地区同士の公立校対決、豊岡が川越初雁に連勝するも川越初雁にも逸材
2試合で4本の二塁打を放った川越初雁・早瀬
<高校野球交流試合:豊岡13ー7川越初雁、豊岡17ー11川越初雁>◇13日◇2試合◇豊岡高校グラウンド
埼玉県内の同地区の公立校同士の練習試合となった。埼玉県は、春秋の県大会への出場権は東西南北の4地区に分かれているブロック予選を勝ち上がらなくてはならない。その中では、西部地区ブロックが一番厳しいともいわれている。
豊岡は、今春の西部地区予選では初戦で所沢を下したものの、代表決定戦では市立川越に5対12で敗れ県大会出場を逃している。昨秋も、予選1回戦で川越西に惜敗した。昨夏は初戦で大宮工に競り勝ったが、次の3回戦では川口市立に敗れている。北能徳監督としては、あとワンステージ、ツーステージ、チーム力を上げていきたいという思いである。
また、川越初雁は西部地区予選では今春は川越南に、昨秋も所沢西にコールド負けしている。従って、このチームはまだ、公式戦での勝利を経験していないということになる。それだけに、夏へ向けては何とかチームとしての精度を高めていって、いい結果を残していきたいというところだ。そのためにも、これからの週末の練習試合の一つひとつは大事になっていく。
そんな両校の、対戦である。この日は、午後からは雨の予報も出ていたくらいだったが、何とか予定していた2試合ができたのはよかったと言っていいであろう。
これから、夏の大会組み合わせが決まって夏の選手権が始まるまでの約1カ月半は、各チームにとっては、これまで積み上げてきたことの確認と、弱点をどう修正していくのかということにもなる。ことに、夏へ向けては投手陣の整備ということも大事になっていくであろう。豊岡は、1試合目の先発・大竹投手が6イニングを2失点で抑えたのは、北監督としても、まあ順調なところという判断であろうか。その後を小澤投手が遊撃手からマウンドに登ったのだが、代わり端に1死後3四球を与え、ストライクを取りに行ったら安打をされるという流れの悪さで5点を献上してしまったのは反省点であろう。
それでも、試合としては前半の貯金で何とか逃げ切ったということになった。
1番・坂本捕手は二塁打を含む、4打席連続安打で気を吐いた。その坂本は、2試合目では、2イニングリリーフのマウンドにも立っている。豊岡では、この試合ではDHとして4番に入っていた赤羽も3安打。センター返しの打撃はよかった。
豊岡は2試合目では、投手のやりくりに苦労しながらも5人を繋いで何とかしのぎ切った。尚、この試合は北監督が所用で外していたので、須川将憲部長が指揮を執り、川越初雁では、この日は監督代行となっていた斎藤秀彦部長との川越高同級生対決となった。
川越初雁は、昨秋の大会は13人で戦わざるを得なかったということもあって、苦しかったが、この春には新入生が10人入ったことで、何とかチームとしての形も整ってきたようだ。それに、転校生の早瀬が夏を前に、公式戦の出場も可となるので、これはチームとしては大きいようだ。早瀬は、この日の試合では、4番打者として2試合フル出場して、1試合目では三塁手、2試合目では一塁手で途中投手としてもマウンドに登りながら、最後は三塁を守った。全11打席で、10打数7安打。驚くべきは二塁打4本だった。左打ちのプルヒッターかと思われたが、案外左へおっつけていくバットコントロールの上手さも持っている。
こういう選手が、隠れているのを見つけるところにも、こうした交流試合に足を運ぶ楽しさがあるといってもいいであろう。正直、この日の選手たちの中では、一人スイングスピードと打球が飛び抜けていたなという印象だった。また、その前を打つ枝並も3番・遊撃手でフル出場して11打席10打数6安打、守りでも守備範囲の広いところを見せていた。
川越初雁の場合は、この日も1年生を多く起用せざるを得ないというところもあったが、2試合とも1番の武田はじめ、2試合目の先発となった河村投手、野手からリリーフもした鈴木海斗投手や石井、井上らがこうした練習試合で経験を積んでいきながら、夏までには何とか戦力になっていくようになれば、チームとしてはもう少し戦いやすくなっていくであろう。
こうして、全国で様々なチームが夏を目指してチームを作り上げていこうとしている。そうした空気を感じることも、高校野球を見ていく楽しみの一つでもあるのだ。
(記事=手束 仁)