相洋vs東海大相模
相洋が横浜に続き東海大相模も破る、136キロ左腕がスライダー武器に強打封じる
相洋先発・中島翔人
<春季高校野球神奈川県大会:相洋2ー1東海大相模>◇5日◇準決勝◇横浜スタジアム
準々決勝で横浜を破り、勢いに乗った相洋が、東海大相模相手の準決勝も勢いそのままに2対1で倒し、決勝進出。関東大会の切符もつかみ取った。
初回に1番・永野 悟史内野手(3年)のヒットで勢いに乗ると、3番・渡邊 怜斗捕手(3年)の右中間への適時打で1点を先制。さらに続く4番・川嶋 大輝内野手(3年)は犠牲フライを放ち、相洋が幸先よく2点を奪った。
その後、東海大相模先発・子安 秀弥投手(3年)の前に抑えられたが、先発・中島 翔人投手(2年)が力投。最速136キロを計測するも、球速、球威といった力で抑えるのではなく、変化球を巧みに使った投球で東海大相模にホームを踏ませない。
8回まで0を並べた中島は9回もマウンドに上がったが、1死二塁としたところで降板。2番手・ 大場 智仁投手(2年)は適時打こそ浴びたが、同点までは許さず。相洋が2対1で東海大相模を下した。
先発の中島は東海大相模打線に反撃させなかった。高橋監督も勝利の立役者に挙げたサウスポーは、上背こそあまりないが、勢いのある縦回転のフォームから緩急を利かせた投球で、強打の東海大相模打線から凡打の山を築いた。
丁寧かつ辛抱強い投球をした中島は「(相手は)憧れのチームだったので嬉しい」と喜びの一言。強打を誇る東海大相模に好投したことは大きな自信になったが、特に光ったのは外角中心にして相手打者をかわした巧みなピッチングだ。
9人中6人が左打者となっている東海大相模のスタメンに対して、中島の投球は有効で、なかでも中島本人も手ごたえがあった外角へのスライダーは何度も打者の態勢を崩し、まともなバッティングをさせなかった。楽天・松井 裕樹投手(桐光学園出身)を参考にして「ストレートと同じく腕を振って投げる」ことを意識することで、コントロールしている。
元々、スライダーは持ち球ではなく、カーブがメインだったが、同じ神奈川出身のNPBで活躍する偉大なサウスポーからヒントを得たことで、今や自身を支える武器となった。強打・東海大相模を前に威力を発揮し、勝利に結びつけた。
また秋の時点では今日のような制球力はなく、浮いてしまうことが多かった。課題解決へ、冬場は走り込みを中心にして下半身を強化。次第に粘り強く使えるようになり、「軸足に重心をギリギリまで残して、爆発させるように体重移動する」感覚がフォームにマッチ。課題の制球力が克服された。
加えて、練習1つ1つに対して真剣に取り組んでいたことで、集中力も磨かれた。「(辛抱強くやることは)苦手です」といいながらも、最後まで丁寧に外角を攻め続けた投球は、心技体全てにおいて秋からの成長を示す確かな結果だといっていい。
今日の投球を「80点です」と評価した中島。決勝で投げることがあれば、100点満点の投球を見せてほしい。
(記事=田中 裕毅)