試合レポート

浦和学院vs市立川越

2023.05.04

浦和学院が市立川越を一蹴!3年連続春の関東へ!

浦和学院vs市立川越 | 高校野球ドットコム
浦和学院・喜屋武 夢咲

<春季高校野球埼玉県大会:浦和学院11ー0市立川越(5回コールド)>◇3日◇準決勝◇県営大宮

 準決勝の第1試合は優勝候補のAシード・浦和学院vs花咲徳栄などを倒し勢いに乗る市立川越との一戦である。

 先発は浦和学院が左腕の伊藤 充輝投手(3年)、市立川越が左腕の西見 一生投手(3年)と両エースが登板し試合が始まる。

 試合は初回から浦和学院打線が市立川越に襲いかかる。

 浦和学院市立川越・西見の立ち上がりを攻め立て、1死から2番・月山 隼平内野手(2年)が右前安打を放ち出塁すると、続く濱野 裕真外野手(3年)のところで浦和学院ベンチはエンドランを仕掛ける。

 濱野はこれに応え三塁強襲安打を放ち1死一、三塁とすると、ここで4番・喜屋武 夢咲外野手(3年)が右前適時打を放ちまず1点、さらに続く三井 雄心内野手(2年)が四球を選び1死満塁とする。6番・篠塚 大雅捕手(3年)の内野ゴロで2点目、さらに続く西田 瞬内野手(1年)が死球で出塁し、再度満塁とすると、8番・伊藤が右中間へ走者一掃となる適時三塁打を放つなど、浦和学院はこの回一挙5点を奪うビッグイニングを作り、試合の流れを完全につかむ。

 浦和学院は2回以降も攻撃の手を緩めず、先頭の小林 聖周外野手(3年)がセーフティーバントを決め出塁すると、すぐさま二盗を決める。2死後、4番・喜屋武が中前適時打を放ちまず1点、さらに続く三井の右前安打と相手エラーで2死二、三塁となったところで、市立川越は早くも2番手・小田 遥斗投手(3年)へスイッチする。

 浦和学院は小田の代わり端を攻め、6番・篠塚が左前適時打を放つと、続く西田瞬も中前適時打を放つなど、この回3点を追加し早くも8点差をつけ試合の大勢は決した。

 粘る市立川越もその裏、この回先頭の田島 翔大捕手(3年)が死球で出塁すると、続く西村 光貴内野手(3年)もセーフティーバントを決め無死一、二塁とする。だが、1死後、二走・田島が捕手からの牽制に刺されるなど、ややチグハグな攻撃で無得点に終わる。

 浦和学院は4回にも、この回先頭の濱野が相手エラーで出塁すると、これを足がかりとし、喜屋武、篠塚の連続長短打などで3点を追加し11点差をつけコールドペースへ持ち込む。

 投げては先発の伊藤が勢いに乗る市立川越打線を寄せ付けず、4回を内野安打1本に無失点に抑えると、最終回は細澤 貫道投手(3年)が抑える。

 結局、浦和学院が5回コールド11対0で市立川越を下し決勝へ駒を進め、関東大会出場を決めた。

 まずは、市立川越だが、野手は旧チームのスタメンが5人残っていただけに「本気モードの浦和学院と対戦できたのは収穫。初回を乗り切れればと思っていたんですが、投手陣は化けの皮が剥がれてしまったかな。私学が本気になって対策を立てられると厳しい。(花咲)徳栄戦のイメージがあって、それを引きずってしまった。今後は対策を立てられた時の対策を立てられるように。情報戦なので。旧チームから投手陣の整備が課題で秋は間に合わなかったが、今大会はその取っ掛かりを作れたかなと。もう1回競争です」(室井監督)と、花咲徳栄戦のようにはいかず、昨春に続いてのベスト4での敗戦に悔しさを滲ませた。

 とはいえ、花咲徳栄上尾正智深谷などを破っての2年連続ベスト4進出は立派だ。
 「今日はこの雰囲気に少し舞い上がって投球テンポが単調になってしまった。元々インステップで投げていたんですが、昨秋は一旦戻して。春に原点に返ってインステップで投げられるようになってから成長できた部分もある。夏はさらに制球を磨きたい」と、エース西見も前を向く。課題と収穫と。昨春に続きBシードで迎える夏、野手は経験豊富なだけに上位進出の鍵は投手陣が握るであろう。

 一方の浦和学院は、3試合ぶりの短い試合時間となり「伊藤は本人も投げたがっていたので投げさせました。先発投手が抑えればこういう展開になるのですが。野手は冬場から1球目を捉えようと、これまでやってきてほぼ全試合早い回に得点が奪えている。今日は遅い球対策としてうちに似たような投手がいるので初戦はやや入れ過ぎていたので前で捉えるように。これで前体制も含め7季連続の決勝進出。昨年はプレッシャーもあり受けていた部分もあるが、今年はないのでチャレンジャーの気持ちで。第1シードのプレッシャーに打ち勝つ準備に取り組んできたので。主将の交代については、これまで秋からスタッフも含め小林に依存していた部分もあった。他の選手の成長により小林を1番における状況になったのは大きい」と、盤石の試合運びに森監督も自然と口元も緩んだ。

 「今大会投手陣の立ち上がりが課題となっていて、今日はその課題を修正できた。昨秋の横浜戦はたくさんの人の中での投球に課題が残ったんですが、今日は同じような状況でも自分の世界で投げられた。自分は左打者のインコースにも変化球を投げ込めるので。夏はエースナンバーをつけられるように」(伊藤)と、既に夏を見据えるエースと冬場を越しレベルアップした打線。

 決勝の相手・昌平は昨秋も敗れており強敵だが、浦和学院もチーム力が上がっており面白い試合になりそうだ。夏の第1シードを取るのはどちらのチームか?

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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