日大三vs東京成徳大高
東京成徳大高 善戦はしたものの 強打・日大三の重圧による序盤の大量失点が響く
2回本塁打を放った日大三・岡村
<春季高校野球東京都大会:日大三9ー3東京成徳大高>◇23日◇準々決勝◇スリーボンドスタジアム八王子
日大三と東京成徳大高の一戦は、序盤の2回を除けば、ほぼ互角の展開だったが、序盤の失点があまりに大きく響いた。
東京成徳大高は、森田正裕監督が成長の期待も込めて背番号18の大野 悠馬投手(3年)をマウンドに送った。大野にすれば、相手がいくら強力打線の日大三とはいえ、外角ばかりを攻めるわけにはいかない。内角を厳しく攻めるつもりが死球になった。
1回、日大三は2死球と四球で1死満塁となり、今大会当たっている池内 仁海外野手(3年)が三塁打を放ち、満塁の走者がすべて還り、3点を先制する。「インコースの真っ直ぐ。逆らわずに打てました」と池内は言う。
2回は1死二塁から2番・清水 蒼天外野手(3年)が左前安打を放ち日大三が1点を追加。さらに3番・二宮 士内野手(3年)も内野安打で出塁し、4番・岡村 颯大内野手(3年)が右中間のスタンドに入る3ランを放ち、この回も4点を入れる。「真ん中低めの真っ直ぐです。引き付けてしっかり回せました」と岡村は本塁打について語る。
2回が終わって7―0。日大三の一方的な展開になったが、東京成徳大高は、3回、大野への代打・古田 睦貴内野手(2年)が二塁打を放ち、2番・中 健斗外野手(3年)の左前安打で還り、1点を返す。
その裏からマウンドに上がった横手投げの田中 琉斗投手(3年)が好投。中盤走者は出すものの得点は許さず、コールドゲームになりそうな展開でも持ちこたえる。
6回は2本の安打で1死一、三塁とし、7番・小尾 涼介内野手(3年)がスクイズを決めて1点を返す。得点差があっても、大きいのを狙わずに、小技で1点ずつ返していく東京成徳大高のスタイルを貫き、追い上げる。
田村に抑えられていた日大三は7回に8番・大賀 一徹捕手(3年)の二塁打に1番・古賀 也真人内野手(3年)の右前安打で1点を追加。8回は、1死一塁からまたも池内が二塁打を放ち1点を追加する。
東京成徳大高も8回に4番・篠原 一誠内野手(3年)の三塁打に、6番・大向 利幸捕手(2年)の中犠飛で1点を返したものの、日大三が谷亀 和希投手(2年)、増田 竜輝投手(3年)、安田 虎汰郎投手(3年)とつなぎ逃げ切った。
2回が終わった段階では、日大三の大勝かと思われたが、東京成徳大高は踏ん張った。「9回まで試合ができたことと、3点取れたことが収穫です」と東京成徳大高の森田監督は言う。8強に残ったことで、東京成徳大高は、夏は強豪校の証である四隅のシードが確定している。東京成徳大高の躍進を支えているのが、主将の西 絆斗内野手(3年)をはじめ、中、篠原という奄美大島出身の3人だ。3人はアパートで共同生活をしている。西主将は夏に向けて、「シードは確定していますが、背伸びせず、一戦一戦戦いたい。ベスト8以上に行きたいです」と語る。
日大三は中盤は思うような試合ができなかったが、準決勝に向けて三木有造監督は、「この1週間、死に物狂いでやらせます」と語る。
二松学舎大附が3回戦で敗れ夏はノーシードになるなど、波乱もあった春季都大会だが、準決勝は、関東一ー日大三、帝京ー早稲田実業という東京の高校野球を代表する伝統校による好カードになった。
(取材=大島裕史)