試合レポート

海城vs都立日比谷

2022.10.09

進学校対決は海城に軍配 主将・樋口の4安打を含む14安打9得点で初戦突破

海城vs都立日比谷 | 高校野球ドットコム
海城3番・樋口 航介

<秋季高校野球東京都大会:海城9-3都立日比谷>◇9日◇1回戦◇江戸川区球場

 都大会の組み合わせが決定した段階で、注目カードの1つに挙がっていた海城都立日比谷による進学校対決。両チーム合わせて25安打が飛び交う打ち合いとなったが、最後は海城が制した。

 5回を終わって3対2と海城が競り合いながらもリードして折り返すと、6回、7回と追加点。さらに7対3の8回には、3番・樋口 航介内野手(2年)の、この試合4本目となるヒットなどでチャンスを作ると、5番・金森 大和捕手(2年)の一打でダメ押しの2点を追加。9対3として都立日比谷を下した。

 8回14安打9得点を記録した海城打線は、上位陣を中心にしっかりバットを振れる選手が多かった。特に3番に座った樋口は、あまりテークバックを引くことなく、シンプルに構えてタイミングを取ると、「監督に指導いただいて意識している」というインサイドアウトでコンパクトにスイングして捉えていた。下半身から動き出せていたのも特徴で、しっかりと全身を使って打撃ができていたので、フィジカルが強化されれば、強打者として期待できるだけの技術は伴っていた。

 海城は進学校で「文武両道を掲げて活動しています」という。平日の練習は2時間半ほどで、グラウンドの使用も他部活との兼ね合いで週3日だけだが、広さの都合で普通の打撃練習はできない。ネットに向かって打つか、学校にある鳥かごを活用して打つなど、工夫をしなければいけない。

 しかし梶監督は「できることの質を高めるようにしています」と、最善を尽くしてチームを作り上げてきた。そのために「目的意識をハッキリもって取り組んでいます」と樋口主将は普段の練習に対する姿勢にこだわってきた。

 練習では外角への直球や、変化球など、打つ球種を限定して取り組むことがあるという。都立日比谷との試合、飛田 凪晴投手(2年)と高橋 直人投手(2年)の2人と対戦したが、「相手のストレートに絞ることができたので打てました」と樋口主将は振り返っており、少なからず目的をもって取り組んできた練習の成果があるようだ。

 ただ梶監督は「走塁やバントなど実戦練習を積まないといけないですし、筋力強化をしてプレースピードを高めないといけない」と現時点で満足はしていない。秋のみならず、春以降も躍進が楽しみだ。

 一方で敗れた都立日比谷も、都内有数の進学校として知られる。海城との進学校対決は中盤まで競り合ったが、終盤で力尽きた。石渕監督は「勝てる試合だった」と悔やんだ。しかし、夏休みも勉強との両立のために平日4日、土日1日の5日間の練習量で都大会までたどり着いた。練習時間も2時間半から3時間と短時間だが、高野 遥生内野手(1年)が言うように「集中して取り組んでいます」と量で敵わない分、質で補ってきた。

 都大会に出場して、「壁を感じました」と高野をはじめ上のレベルが明確に見えた。石渕監督も「都大会で勝つ目標ができた」と春までにやるべきことが明確になったようだ。進学校という肩書を背負い、春の都大会では躍進する姿を見せてほしい。

(記事=田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.05.14

【春季東京都大会総括】日大三、二松学舎大附など強豪校がノーシードの波乱! 新基準バットでも9本塁打の帝京が驚異の打力で王者に

2024.05.13

【北海道】帯広大谷、遠軽、函館大柏稜が全道大会出場へ<春季全道大会支部予選>

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.09

プロスカウトは190センチ超の大型投手、遊撃手、150キロ超右腕に熱視線!この春、浮上した逸材は?【ドラフト候補リスト・春季大会最新版】

2024.05.09

【熊本】九州学院は城北と文徳の勝者と対戦<NHK旗組み合わせ>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?