試合レポート

滑川総合vs川口市立

2022.09.23

滑川のウェイクフィールド?エース橋本がまたしても好投、滑川総合がベスト8進出!

滑川総合vs川口市立 | 高校野球ドットコム
滑川総合・橋本 海里投手

<秋季高校野球埼玉県大会:滑川総合3-1川口市立>◇22日◇3回戦◇レジデンシャルスタジアム大宮

 滑川総合橋本 海里投手(2年)には恐れ入った。花咲徳栄戦の次の試合、どうなるか見ものであったが、全く動じずこの日もこれまでと同様の安定したピッチングを披露してみせた。

 某強豪校の関係者が、冗談ぽくではあるが滑川総合・橋本を評して「滑川のウェイクフィールド」と例えた。なるほど言い得て妙だ。

 もちろんナックルボーラーではない。橋本は188センチの長身右腕であり、球に角度はあるのだが、直球は最速でも130キロ程。直球は動いており、チェンジアップも何種類かあるため左だけでなく右打者にも投球できる。

 [stadium]レジスタ大宮球場[/stadium]の第1試合は橋本を擁し初戦で優勝候補・花咲徳栄を破るなど、今大会の台風の目となった滑川総合と夏のスタメンが多く残る川口市立という公立高校同士の一戦である。

 スタメンでは、滑川総合は前回と同じ不動のオーダー。一方の川口市立川越東戦以来の取材となるが、その時との変更点は7番に本来投手である水澤 和之投手(2年)が打撃の良さを買われ右翼で先発出場し、1回戦で7番を打っていた原田 幹大内野手(2年)が8番を打つ。

 先発は滑川総合が長身右腕のエース橋本、一方の川口市立は1年生右腕の高木綾太投手(1年)が先発し試合が始まる。

 先制したのは滑川総合であった。

 初回、滑川総合は1死から2番・小井土 友駿内野手(2年)が二塁への内野安打を放ち出塁すると、続く中村 諒誠内野手(2年)も左前ヒットを放ち1死一、二塁とする。ここで4番・齋藤 大地捕手(2年)が左翼線へ適時二塁打を放ち滑川総合が幸先良く1点を先制する。

 だが、この日の滑川総合はどこかチグハグであった。

 滑川総合は3回表にも1死から2番・小井土が遊撃への内野安打で出塁すると、続く中村が右越えの二塁打を放ち1死二、三塁とする。4番・齋藤も四球を選び1死満塁とするが、続く横田望内野手(2年)のスクイズは本塁封殺されると後続も倒れ無得点に終わる。

 その後、1対0のまま、ややゲームが膠着し、次の1点がどちらに入るかが鍵となった。

 迎えた6回表、次の1点は滑川総合に入る。

 滑川総合は5回からマウンドに上がった川口市立の2番手左腕・飯出 裕己投手(1年)を攻め、この回先頭の横田が遊撃ゴロエラーで出塁すると、1死後7番・篠崎 大智外野手(2年)が三塁への内野安打を放ち1死一、二塁とする。ここで、続く金子 銀志内野手(2年)が左中間を破る適時二塁打を放ちまず1点。さらに9番・橋本のところで滑川総合ベンチは2ランスクイズを試みる。スクイズ自体は決まり3対0となるが、二走・金子は本塁アウトとなり2点でこの回の攻撃を終える。

 一方、川口市立の反撃は7回裏であった。

 1死から7番・新井 瑛碩(2年)が死球で出塁すると、すぐさま二盗を決める。2死後、捕手の二塁牽制が悪送球となると、その間に二走・新井は一気に本塁に生還し川口市立が1点を返す。

 だが、反撃もここまでであった。

 滑川総合・橋本はこの日も5安打、3四死球6奪三振1失点で完投する。

 結局、滑川総合が3対1で川口市立との接戦をものにしベスト8へ駒を進め、同時に来春のシードも獲得した。

 川口市立の投手陣は、まずまずの投球であったが、遊撃ゴロの一塁悪送球が2つ。このうち1つが得点に絡んでしまった。頼みの打線も
「低めの変化球に手を出さないという対策を立て、攻略したつもりが攻略できなかった。なんで打てないか教えてほしい。きちんとしたショットができなかった」(鈴木監督)
と、2試合連続逆転勝利と勢いを持って試合に臨んだがこの日は不発。最後まで滑川総合・橋本を捉えることができなかった。とはいえ、投手陣はタイプの違う投手が複数おり、打線も西澤 剛内野手(1年)を中心とした、若く能力の高い選手が多いだけに、守備や投手陣の整備も含め、来春までにどこまで仕上げてくるか楽しみなチームである。

 一方の滑川総合は、この日バントミスや守備の乱れなど細かいミスがあり、決して盤石の試合とは言えなかった。それでも、このチームには大黒柱・橋本がいる。

「橋本は3日空いたので回復できた。花咲徳栄戦を終えて選手達の心が揺れないことを注視してやってきたので細心の注意をした成果はあったかなと。ただ、今日はバントミスなど課題はある。もう少し打ちたかったですが、うちは弱者なんで謙虚に」(戸川監督)
と、あくまで一戦一戦を強調し次を見据えていた。台風の目・滑川総合がこの先どこまで勝ち進むのか。鍵を握るのは橋本であろう。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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