川越東vs市立川越
川越ダービーは1点勝負に。伊藤が完封した川越東がベスト8進出!
トーナメント表
・埼玉大会の勝ち上がり
関連記事
・強豪ひしめく夏の埼玉大会を徹底展望!
・今年の埼玉は140キロ超えのプロ注目右腕、プロ注目スラッガーなどが多い!
日程・結果一覧
・埼玉TOPページ
・第104回大会 全国47都道府県地方大会の日程一覧
気になる学校への応援メッセージはこちら
・学校検索ページ
大会の詳細・応援メッセージ
・第104回 全国高等学校野球選手権 埼玉大会
選手名鑑情報はこちら
・選手名鑑一覧ページ
<第104回全国高校野球選手権埼玉大会:川越東1-0市立川越>◇21日◇5回戦◇県営大宮
市立川越vs川越東、川越市内のライバル対決。互いに知っている両校の対決は能力以外の色々な要素が絡むことが多い。第2ラウンドは、前回とは全く違う展開となった。
県営大宮球場の第2試合は、Bシード・市立川越とDシード・川越東との一戦である。この両校は昨秋も県大会1回戦で対戦しており、その時は川越東が勝利しているが今回はどうか。
先発は前回の対戦時同様に市立川越が関盛宏(3年)、川越東が伊藤匠海(3年)と両エース左腕が登板し試合が始まる。
試合はロースコアのゲームとなる。これはどちらかといえば市立川越ペースのゲームであろう。
川越東は初回、市立川越・関の立ち上がりを攻め、先頭の種田太一(3年)が中前安打を放ち出塁すると、続く神保直希(3年)の犠打が相手エラーを誘い無死一、二塁とする。さらに3番・小林舜(3年)がきっちりと送り1死二、三塁とすると、続く白水大陸(3年)も四球を選び1死満塁とチャンスを広げる。ここで5番・渡邊航大(3年)はやや浅めのライトファールフライとなるが、三走・種田は本塁へ突入し1点を先制する。
川越東は2回裏にも2死から9番・伊藤が左前へポトリと落ちるヒットを放つと、続く種田も三塁強襲安打を放ち2死一、二塁とするが後続が倒れ無得点に終わる。
中盤以降は市立川越・関が立ち直り川越東打線を無失点に抑える。市立川越バッテリーは昨秋の対戦時、外中心であった配球からガラリと変わり、この日は執拗にインコースを突き、動く直球を生かす。さらに昨秋は投げなかった球種も使い、川越東打線を完全に封じる。
一方の川越東・伊藤は序盤から安定した投球を披露し無失点で切り抜ける。特に今大会は変化球が冴え、好調の市立川越打線も手が出ない。
市立川越は4回表、この回先頭の畠山敦志(2年)が左中間へ二塁打を放ち出塁すると、続く鈴木善(2年)がきっちりと送り1死三塁とする。さらに2死後、6番・田島翔大(2年)が四球を選び2死一、三塁とするが、後続が倒れ無得点に終わる。
市立川越は8回表にも一死から1番・南創太(2年)が左前へポトリと落ちる安打を放ち出塁すると、続く村田一生(3年)も左前安打を放ち1死一、二塁とチャンスを広げる。だが、後続が倒れどうしても1点が奪えない。
市立川越は最終回も1死から田島が遊ゴロエラーで出塁するが、続く西村光貴(2年)の遊撃へのライナーが併殺になり万事休す。
結局、川越東が1点勝負を物にし、ベスト8へ駒を進めた。
市立川越は、とにかくこの日はエース関が良く投げた。ベストピッチだったそうだ。前の試合の反省から、試合後、新井元監督とマンツーマンで膝が前に出ないようにフォームを修正し、配球も工夫する。この試合に臨んだ効果が出た。自分達の代になってから本格的に投手に取り組んだこともあり、新チーム結成当初は結果が伴わず、関の代は厳しい言葉を投げかけられ続けていた。そこで何くそと奮起し、最後には「大ピッチャー」と、室井監督に言わしめるまでになった。スタメンに2年生が多く残るだけに秋以降はこの日の悔しさをぶつけてもらいたい。
一方の川越東は決して満足できる内容ではなかったが、それでも勝ちを拾った。その原動力はエース伊藤だ。公式戦初完投を完封で飾るなど、仕上がってきた。本人は「まだボール球が多いのは課題ですが、それでも0に抑えるというピッチャーとしての仕事を果たせたのは良かった」(伊藤)と、謙虚であったが、一番良かった一昨年秋の状態に近くなってきた。とはいえ、次の相手は優勝候補・花咲徳栄が相手だ。昨秋も伊藤は攻略されており、ある程度の失点は覚悟しなければならない。問題は打線だ。総じて振れておらず、この日は早打ちで相手を助けてしまい、やや当てに行く場面が散見される。時には執拗に粘り、時にはフルスイングをする。打線としての工夫が必要であろう。
(取材=南 英博)