若松vs我孫子東
9回裏、若松が粘りを見せて逆転サヨナラ、我孫子東は無念の暴投
ワンポイントリリーフで二死を取った若松・齊藤匠真君
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<第104回全国高校野球選手権千葉大会:若松7-6我孫子東>◇16日◇3回戦◇柏の葉公園
前日は、2回表で先行していた若松が初回に1点を先取したところだったのだが、降り出した雨が強烈で中断し、中止ノーゲームとなってしまった試合。お互いに、ちょっとジャブを交わした程度というところでの中止というところだったが、1点とはいえリードしていた若松と、1点のビハインドがなくなった我孫子東。そのあたりの気持ちの部分はどうだったのかなということも気にはなった。
若松は秋季大会と春季大会も県大会進出を果たしているが、我孫子東は県大会出場を逃して悔しい思いをしている。それだけに、この夏の大会への思いは強いはずだ。
仕切り直しの試合は、まずはどういう形で試合が動いていくのかというところに興味があった。
先攻と後攻も入れ替わったが、若松は下位打線を少し打順を入れ替えた。我孫子東は先発も前日の秋谷ではなく左腕の勝股となった。また、打順も4番に背番号16の川田を入れ、本来4番の山本を3番にして、3番を打っていた二宮を5番にした。
その起用が効いたのか、我孫子東は序盤に勢いがあった。2回に7番伊藤健藏の2点適時打で先制し、さらには9番小俣も二塁打でこの回3点。続く3回にも2死走者なしから二宮、正木の連続二塁打などで2点を追加。5対0とした。しかし、我孫子東の坂本 賢司監督は、「5対0になっても、あまり勝っているような気はしなかった」というように、どこかに不安があったようだ。そして、若松のベンチの元気の良さも、そんな相手にプレッシャーをかけていったのであろうか。
若松は3回に1死満塁から2番藤原の中前打で2点を返し、さらに1死一、三塁からスクイズで3点目をかえして2点差とした。我孫子東は先発の勝股を4回で退け、5回からは平野を送った。しかし、若松は1死で死球を得ると、4番で投手として先発して、4回からは一塁に回っていた高橋が左越え二塁打して1点差。さらに、死球というところで、坂本監督は平野を早々に諦めることとなった。そして、3人目として二宮を一塁からマウンドへ送った。
グラウンド整備明けの6回、若松は8番奥村が右越え二塁打してバントで進み、死球後、2番藤原の左前打でついに同点とした。
それでも、我孫子東は7回、失策の走者をバントと内野ゴロで三塁まで進めると、4番に起用されていた川田が中前打して再びリードを奪う。しかし1点差、試合の流れからしても、どうなっていくのかわからない状況ではあった。しかも、5回からリリーフして何とか抑えて粘っていた二宮が、脚の様子を気にする仕草もあって心配なところでもあった。
そして迎えた9回の攻防。我孫子東は小俣の左前打と1番鈴木大誠の二塁打で無死二、三塁とする。ここで、若松の内山創太監督は、スクイズも想定してフィールディングのいい二塁手の齊藤匠真を送り込む。案の定、スクイズをしてきたが、梅澤の打球は投手への小飛球となって、飛び出した三走もかえれず併殺。これで、内山監督は、再び布陣を元へ戻して、レフトへ下がっていた向後が戻り、山本を一塁ゴロに抑え、絶体絶命かと思われたピンチを逃れた。
勢いづいて、元気のいい若松はその裏、死球とバント、6番の向後も左前打で繋いで一、三塁。2死となって、8番奥村君だったが、ここで2ボールとなったところで申告敬遠。坂本監督は、「前の打席でタイミングが合っていると感じていたので、2ボールになったところで、一か八か申告敬遠して満塁策とした」という選択だったが、二宮は次打者に対してボールが先行して3ボール。結局四球で押し出し。さらに、1番齊藤匠真に対する初球が外に大きくそれて暴投となり三塁走者が生還して逆転サヨナラとなった。
歓喜の若松ベンチだったが、二宮投手はマウンドでうずくまってしばし動けなかった。それを仲間が手を貸して引っ張り上げて、最後の挨拶に並んだ。
坂本監督は、「いろいろ言えばあるでしょうが、新チームがスタートした時のことを思えば、こうした戦いができたことは、選手たちはよく頑張ったし成長したと思う。結果は仕方ない」と、ここまでの戦いを評価していた。我孫子東はかつての布佐と湖西が統合されて2011年にできた新校だ。学校の歴史もあまりない中で坂本監督が試行錯誤しながら作り上げてきたチームである。
歓喜の若松は、好リリーフで踏ん張った向後は興奮冷めやらぬ雰囲気。
「負けていても、最後まで諦めないで行こうという雰囲気はずっとありました。9回については、齊藤がワンポイントでいい仕事をしてくれたので、ボクも(再びマウンドに戻って)絶対抑えてやろうと思った。その裏、打撃でも、サヨナラへつなぐことができて良かった」
終始、満面の笑顔を浮かべていた。
(取材=河嶋 宗一)