天理vs享栄
天理のエースが快投 強敵・享栄に完封リレーで指揮官も驚き
天理・南澤 佑音投手(3年)
<愛知県招待試合:天理1-0享栄>◇5日◇刈谷市営
愛知招待試合に参加している天理(奈良)。初日は1勝1敗だった。迎えるのは昨年秋、愛知県で優勝した享栄だ。
1回裏、1番・藤森 康淳内野手(3年)が享栄先発の149キロ左腕・東松 快征投手(2年)の144キロの直球を振り抜き、右越えの二塁打。その後、1死三塁から3番・永井 大飛外野手(3年)の内野ゴロの間で1点を先制する。これが決勝点となった。
エース・南澤 佑音投手(3年)は前日に続いて先発したが、中部大春日丘戦よりも明らかに球が走っていた。130キロ前半が多かった前日と違って、135キロ前後の速球を内外角へしっかりと投げ分け、120キロ前半のスライダーの切れ味も鋭い。南澤はフォームの修正を行っていた。
「昨日(4日)の試合を見ると腕の振りの位置が高かったので、やや腕の振りの位置を下げるフォームに変更しました」
微調整を加え、翌日にしっかりと好投を見せた。能力が高い打者が多い享栄打線を5回無失点。南澤は「まだまだ甘いところがある」と言いながらも、修正を加えて打者を抑えたのは収穫だった。
6回表から左腕・中川 輝星投手(2年)が登板。120キロ中盤〜後半の速球と切れのあるスライダ−を低めに集め、最後も併殺に切り抜け、完封リレーを完成させた。両投手の好投に、中村監督も驚きだった。
「享栄さんなので、点を取られることは覚悟していた。打っていかないといけないと思っていましたので、こういう勝ち方ができるとは思っていませんでした。強い相手にならば、僅差になるものですが、想定していなかった勝ち方であり、逆に選手たちから学ばさせてもらいました」と投手陣と守り抜いた野手陣を称えていた。
かなりポイントが高い勝利だったことは間違いない。
(記事:河嶋 宗一)
享栄完封負けも自慢の投手陣の出来に手応え
享栄・東松 快征投手(2年)
<愛知県招待試合:天理1-0享栄>◇5日◇刈谷市営
試合には敗れたが、享栄も夏につながる材料は大いにあった。
享栄は149キロ左腕・東松 快征投手(2年)が5回1失点5奪三振の力投。常時140キロ台を計時し、強打者、巧打者が揃う天理相手に、ここまでの投球ができたのは大きかった。
2番手の大崎 友暉投手(3年)は130キロぐらいだったとはいえ、大きく落ちるチェンジアップがよく、強豪校相手に好投を見せ、評価を高めている。
3番手で登板した藤本 逸希投手(3年)は腰の故障で登板が遠ざかっていた時期があったが、少しずつ状態を取り戻している。左腕から繰り出す直球は130キロ中盤とマックスの時と比べるとまだまだではあるが、スライダー、カーブなどを駆使して、2回を投げ無安打3奪三振の快投。相手打者を見ながら、しっかりと駆け引きして抑える投球術に大藤監督も観察力の高さを評価している。好調時のスライダーの切れ味は、大藤監督の教え子の中でもトップクラスと評価されており、夏まで、東松とともに、強力な2枚看板として戦力となれるか。
ただ、打線は完封負けした。大藤監督が、「歴代の享栄の左打者の中でもポテンシャルはトップクラス」と評価する左のスラッガー・高田 洸希外野手(2年)もいるが、まだ爆発には至っていない。現状ではどんな相手にも打てずに負けてしまうと危機感を感じている。
関 颯太捕手(3年)の守備力は非常に高く、安定したスローイングが光っていた。大藤監督からの評価も高い中堅手・眞野 怜也外野手(2年)は守備範囲が非常に広く、長打性の打球を阻止する当たりはいくつもあった。
点を与えない守備ができているだけに、あとは各選手の打撃レベルアップが甲子園出場の鍵を握っている。
(記事:河嶋 宗一)