中京大中京vs中部大春日丘
好守にソツのなさ見せた中京大中京、2発で昨秋4強の中部大春日丘を粉砕
6イニングを無失点で抑える好投だった中京大中京・沖野君
<春季愛知県大会:中京大中京10-2中部大春日丘>◇16日◇2回戦◇熱田神宮公園
昨秋の県大会では3位校として東海大会にも出場を果たしている中部大春日丘。このところは、8強~4強の常連となっている。今春は、もう一つ上のステップを狙いたいところでもある。そこに立ちはだかるのが、名門中京大中京で、昨秋は優勝した享栄に1点差で敗れてベスト8止まりだった。
ところで、中京大中京の高橋源一郎監督と、中部大春日丘の齊藤真監督とは中京大で一つ違い、さらに中京大中京の今村陽一部長とは同級生という間柄でもある。そんな縁もあって、コロナ禍で行動が制限されている期間にも、交流試合などを組んでいくということも多かったということで、手の内を知っている同士の対戦でもある。
好天には恵まれたが、風は強く上空で舞っているという状態の中でのプレーボールとなった。
中京大中京は初回、先頭の西谷君が中前打で出ると、バントは失敗したものの春日丘の飯田君がやや制球に苦しんで3四球で押し出しとなり1点を先取した。飯田君は、ちょっとコーナーを意識しすぎたのかもしれない。
3回にも中京大中京は、一死から大江君と日比君の中軸が連打。続いて6番上林君の中前打で大江君を帰し、さらに一三塁で、石堂君のスクイズはバント安打となってもう1点追加した。このあたりは、早いカウントから果敢な攻撃を仕掛けで、まさに伝統の“中京野球”を見事に具現していたと言っていいであろう。春日丘・齊藤監督はここで左腕飯田君を諦めて、永田君を送り出し、この回の傷口を最小限に食い止めた。
しかし中京大中京は、4回にも4番大江君が風にも乗ったが、レフトへ大きな2ランを放った。外野芝生席上の新緑の芽生えた木々の葉を揺らす大きな一打だった。「当たれば、鵜飼(中日)並に飛ばす力はある」と、高橋監督は、大江君の飛距離については、今、中日で売り出し中の先輩鵜飼 航丞(駒澤大→中日D2位)を引き合いに出すくらいに、その潜在能力への期待は高い。
中京大中京は2点を返された7回、その大江君がこの日2本目の2ランを同じようなところに放り込んで、10対2となり7点差以上がついて、7回コールドゲームが成立した。
7回の春日丘は、中京大中京の2番手としてこの回からマウンドに立った山田君に対して、代打小久保君の安打から始まり、1番吉村君と服部君の連打と風によるラッキー安打もあって、2点を返して追い上げにかかった。練習試合でも、春日丘に打たれていたということがあった山田君だが、高橋監督は、「その失敗をここで取返せ」とばかり送り込んだ。2点を取られた時には、「同点までは大丈夫だ」という声もかけたというが、その後はしっかりと押さえて、それが、その裏の大量5点を呼んだとも言えようか。
「相手の投手のコマも大体わかっていましたから、おおよその予測はついた」と言うが、7回は、その期待以上に打線が爆発したと言えよう。
「今年のチームの特徴は、エンドランやバントをしっかり決めて、いろいろと仕掛けていくことも意識している。そういう意味では、3回の得点の取り方はよかった」と言うが、この攻撃の流れが、その後の大量点ももたらせたと言っていいであろう。
一方、中部大春日丘の齊藤真監督は、「話になりません、完敗でした」と、予想外の展開に落胆していた。
(取材=手束 仁)