横浜創学館vs鎌倉学園
横浜創学館、プロ注目右腕の攻略に成功し、大勝
遠藤稔平(横浜創学館)
<春季神奈川県大会:横浜創学館12-1鎌倉学園>◇10日◇2回戦◇サーティーフォー保土ヶ谷
昨夏準優勝の横浜創学館と146キロ右腕・松本直投手擁する鎌倉学園の対決。横浜創学館の試合巧者ぶりが表れた試合だった。
立ち上がりから140キロ中盤の速球を連発する松本に対し、粘ったり、しっかりとボール球を見極め、球数を投げさせ、じわりじわりと追い込んでいき、2回表、内野ゴロとバッテリーミスの間に2点を先制する。
更に5回表には2死二、三塁のチャンスからバッテリーミスと、エースの遠藤稔平投手(3年)の適時打で4点目を入れた。
鎌倉学園は6回表から木村王星投手が登板。木村は120キロ後半の速球を両サイドに投げ分ける右腕だが、7回に横浜創学館は集中打で3番・伊達 気成外野手(3年)の2点適時打などで7対1とすると、9回表にも満塁のチャンスから5番中村、6番佐藤の連続長打で11対1と10点差に。最終的には12対1とした。
投げては183センチのエースの遠藤が好投。昨夏から130キロ後半の速球を投げ込んでいた大型右腕。常時120キロ後半〜135キロ程度ではあるが、両サイドにしっかりと投げ分けができて、スライダー、カーブ、チェンジアップ系統の変化球を器用に投げ分ける。無駄な力みを入れることなく、ストライク先行の投球ができるようになったのは成長点ではないだろうか。観察力が鋭く、相手打線の打席の立ち位置を見ながら、インコースへスライダーを投げたり、直球主体にするなど、かなり工夫していた。遠藤は「相手打者を見ながら投球ができました」と手応えを語る。
昨年9月9日、右膝を手術し、オフ期間はじっくりとリハビリとトレーニングに励んできた。体つきも大きく変わり、73キロだった体重が、85キロまでサイズアップした。体格の成長によって打撃も変わってきた。痛烈な打球を放った長打もあり、この選手が9番に控えているのだから恐ろしい。
前チームには、山岸 翠投手という大投手がいたが、今年は遠藤が一本立ちの気配があり、森田監督も手応えを感じている。守備力も高く、巧打者揃いの横浜創学館。シード獲得まで厳しい戦いは続くが、夏へ向けて楽しみなチームというのは間違いない。
平均球速は高校生トップクラス。鎌倉学園の146キロ右腕は圧巻の速球も5回4失点で無念の初戦敗退
松本直(鎌倉学園)
<春季神奈川県大会:横浜創学館12-1鎌倉学園>◇10日◇2回戦◇サーティーフォー保土ヶ谷
昨秋の県大会・桐光学園戦で最速142キロをマークし、神奈川県でもトップクラスの大型右腕と評価された松本 直投手(3年)。180センチ、86キロと引き締まった筋肉質の体型を見ると、この半年間でしっかりとトレーニングをしてきたのが分かる。
1球目に最速146キロをマークし、初回は145キロ以上が4球と、今年の高校生右腕ではトップクラスの速球を投げ込んだ。しかし制球がままならず、120キロ中盤のスライダーや、フォークも見逃されて球数が増えていく。2回表には、内野ゴロとワイルドピッチで2点を失い、5回表にもワイルドピッチと相手エース・遠藤に適時打を打たれ、5回4失点で降板となった。6奪三振、7四死球と大荒れの内容だった。
1、2回ともに最速146キロをマークしたものの、3回以降は140キロ前半にとどまり、3回まで全球を測定したが、平均球速は140.41キロ。140キロ以上は、3回まで計測できた直球34球のうち、19球が140キロ超え。平均球速は全国トップクラスだ。
冬場、リモート授業があり、全体練習がない中でも精力的にトレーニングを行い、レベルアップをしてきた。鎌倉学園の竹内智一監督は「昨秋の桐光学園戦と比べると、速球面で成長したのは本人の努力ですので高く評価したいと思います」と語る。
ポテンシャルでいえば、今年センバツ出場した右腕と比較しても負けていない。ただ、思うような投球ができなかったことに松本は猛省の様子だった。
「今日は組み立てと呼べるものではないぐらい、駄目でした。フォーム、投球術、考え方など一から見直したいと思っています」
竹内監督はチームでカバーできなかったことが反省点と語る。
「よくないときにどういう投球ができるか。抑えることができるか。それは一冬のテーマでした。初戦はどうしても難しいですが、力を発揮させることができなかったのは我々の責任でもあります。
また、どうしても四球などで走者を許すことが多い投手というのは、我々も、選手たちも理解している中で、打線がもっと援護できれば、違った展開になったかもしれません。この試合展開になったのは、監督の力不足です」
再び戦力を立て直し、どんなチームに成長を遂げるか。そして松本は悔しさを糧に夏では覚醒した投球を期待したい。
(取材=河嶋 宗一)