日体大荏原vs都立府中工
日体大荏原が手堅く攻めで得点重ね府中工を突き放す
6回に貴重な追加点を叩き多勢ス三塁打を放った日体大荏原・和田君
<春季東京都高校野球大会:日体大荏原8-2都立府中工>◇8日◇3回戦◇駒沢球場
1回戦では都立のしぶとい足立新田を下し、2回戦ではシード校の佼成学園に勝って進出してきた日体大荏原。今大会では中大杉並、東大和南に勝ってここまで来ている府中工に対して、どんな戦いをしていくのか、ということで注目された試合でもある。
初回の攻防で、お互いに1点ずつを取り合う。日体大荏原は一死一二塁から4番原田君が中前へはじき返して二塁走者を帰す。府中工もその裏、一死一三塁から日体大荏原の送球ミスで同点とする。府中工打線は、早いカウントから思い切りのいいスイングが目立っていた。この思い切りよく振ってくる感覚は、相手に対してのプレッシャーはあったのではないだろうか。こうしてすぐに振り出しに戻った試合は、次の1点が試合の流れを左右していくのではないかと思われた。
3回はお互いに1番からの好打順ということで、この回あたりに次のアクションがあるのではないかと思われた。日体大荏原は、先頭の石崎君が三遊間を破って出塁すると、きっちりとバントで二塁へ。続く千葉君が右前へはじき返して二塁走者を帰す。さらに、暴投と失策もあって、もう1点日体大荏原に入った。これで、試合の主導権は日体大荏原が握っていく形となる。
5回にも日体大荏原はこの日、自身3本目の安打で出た千葉君が内野ゴロで二塁へ進むと2つの暴投があって労せずして生還。府中工の牛尾君は上からの投げ降ろしタイプだが、ちょっと力んで指に掛かりすぎてしまった縦系のボールが大きく跳ねてしまったようだ。
さらに日体大荏原は、6回にも2番和田君の三塁打や4番原田君の二塁打などで3点を追加する。ほぼセーフティーリードという形になって、右スリークォーターからサイドハンド気味の小金井君は、得意のスライダーがいい感じで決まっており、危なげのない投球だった。
9回に、お互いに1点ずつが入ったけれども、府中工の牛尾君も結果的には8失点となったものの、最後まで丁寧な投球だったのではないだろうか。
日体大荏原の本橋慶彦監督は、「そんなに打てるチームではないので、守りはしっかりとしていかなくてはいけないのですが、そこでミスが出たというのは課題です」と、まずは反省点を挙げていた。それでも、きちんと降りバントを決められていた攻撃面に関しては、「きっちりと送って走者を進めていくという野球は出来たと思います」と、3回、9回と無死で安打が出てしっかりと送り、その走者を帰すことが出来た打線のつながりは評価していた。こうした戦いが、日体大荏原の今年のチームの持ち味でもあるようだ。これで日体大荏原は、夏のシード権を得たことになったのだが、「10年ぶりくらいかな…」というところである。
府中工は、打線はある程度は力強く振ってくるという評判だったが、その通りの力強さは見せていた。
(取材=手束 仁)