中京大中京vs愛知商
前半は苦しんだ中京大中京だが、終盤長打攻勢で愛知商を下す
8回に4点目のホームインをする中京大中京・江崎君
<春季愛知県大会名古屋地区2次予選トーナメント:中京大中京5-1愛知商>◇27日◇1回戦◇中京大中京グラウンド
強豪がひしめき合う名古屋地区予選の2次決勝トーナメント。1回戦は各校のグラウンドがメインで開催される。中京大中京のグラウンドでは、伝統の愛知商との対戦となった。名古屋市内の住宅街の一角にある中京大中京は、グラウンドは校舎に隣接している。ただ、広さは十分に取れないけれども、授業を終えた生徒がすぐにグラウンドへ出られることと、他の生徒たちもグラウンドで頑張る野球部の選手たちの頑張る姿を見られることで、より応援しやすい気持ちにもなっていくという。
そのグラウンドは昨年改修されて、外野フェンスなども造り替えられた。また、近年プロ入りを果たした高橋 宏斗投手(中日)や中山 礼都内野手(読売)らが、来年の梅村学園創立100周年への記念行事の一環として、ブルペンや倉庫を寄贈している。
試合は初回、愛知商が簡単に2死となった後、3番高橋が左翼へライナーの本塁打を叩きこんで先制した。この1点が、中京大中京には、序盤から中盤までには比較的重く感じられるようになっていった。というよりも、愛知商の岡田が力のある投球で、角度のある直球を駆使して中京大中京の強打線に恐れることなく向かっていった。先制の本塁打を放った高橋捕手も強気のリードで岡田を引っ張っていた。
中京大中京も初回、2死から上野が左翼線二塁打して、4番大江も一、二塁間を破って二塁から上野が本塁を狙ったものの、愛知商も片山から宮地~高橋と好中継で本塁タッチアウト。「あそこですぐに追いつかれていたら、試合としては一方的になってしまう可能性もありましたが、ここで堪えられたことで食い下がれたと思います」と、安田良輔監督も試合後振り返っていた。
中京大中京は2、3、4回と安打は出るものの返し切れないまま6回まで試合は進んでいく。投手は先発三浦が3回投げて、4回からは島田が投げて、5回に岡田に二塁打された以外は3人ずつで抑えてまずまずの好投。こうして、味方の反撃を待っていたが7回、やっと中京大中京打線は爆発した。
この回、中京大中京は1死から石堂が死球で出ると、8番・江崎が狙いすまして左翼柵越えの2ランで逆転。さらに、代打日比も同じような位置にソロホーマーと連続本塁打で3対1とした。さすがに、岡田も終盤になって、やや疲れもあったようだ。それに、1次予選でも1週間前の最初の試合でも140球近く投げており、いくらか蓄積疲労もあったのかもしれない。
8回にも中京大中京は、2死走者なしから江崎が右前打すると代打本塁打してそのまま9番に入っていた日比も右前打で一、三塁。さらに西谷の左前打と稲垣の右翼線二塁打でさらに2点を追加した。このあたりの終盤の集中攻撃と勝負強さは、さすがに中京大中京と言っていいであろう。
高橋源一郎監督は、「3月になっても予定していた練習試合がほとんど(コロナ禍で)中止になってしまって、あまり実戦をやれていない中で1次予選に入ってしまいました。だから、公式戦をやりながら(チームを)作っていくというようなところもありましたからね」と苦戦をしても、それも十分に想定内というところのようだった。投手に関しても、「こうして公式戦という形の中で投げていくことで、独特の緊張感を経験していきながら成長していってほしい」という思いのようだ。この日は、2人目として投げた島田がいい投球をしていた。
2次トーナメントは、まだ続いていくし、4月に入って県大会となっていくことになる。中京大中京としては、それらを戦いながら夏へ向けて仕上げていくということになりそうだ。
愛知商も、県大会出場権は得ており、中京大中京にリードしていて、敗れたとはいえ競り合えたことは自信として言っていいであろう。
(記事:手束 仁)