浦和学院vs向上

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三塁打を打つ高山維月（浦和学院）

　浦和学院vs向上の一戦。ともに打力が高く、激しい攻防が見られた。

　まず2回表、浦和学院は5番喜屋武夢咲が右前安打を放ち、6番高山維月が適時三塁打で1点先制。さらに7番伊丹一博の左中間を破る適時二塁打。8番宮城誇南の適時打で幸先よく3点を先制する。

　浦和学院の先発・宮城がぴりっとしない。ストレートの勢い自体は悪くなく、手元のスピードガンでは、常時135キロ〜140キロで、たびたび140キロを出しており、今まで見てきた宮城の中で一番良いと思った。森大監督によると、ここ最近の練習試合では内容が良かったという。リードする高山も「ストレートの走りは良かったです」と語るように力強さがあった。ただ宮城の強みである変化球の精度が甘かった。スライダー、チェンジアップ系も思うように決まらない。森大監督も向上の準決勝、決勝の中継を見て、振れる打線と鶏鶏し、打撃戦になることは覚悟していた。

　戦前の予想通り。向上打線もじわじわと宮城を捉えていく。4回裏、一死二、三塁のチャンスから7番遠藤稔弥が前進守備の間を抜く適時打などで、1点差に迫る。

　だが、5回表、一死二、三塁で3番・金田優太が2点適時二塁打を放ち、貴重な2点を入れる。しかし5回裏、向上は4番に座る大型捕手・廣田翔馬が左中間を破る適時二塁打を放ち、6番野坂凌平の適時打で4対6とする。好投手・宮城は変化球の調子が悪いとはいえ、130キロ後半のストレートを投げる左腕に、7安打4得点を挙げるのだから素晴らしい打線である。さらに6回裏にも1点を入れ、5対6と1点差に。先が読めない展開となった。

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捕手・高山維月（浦和学院）

　追加点を入れたい浦和学院は8回表、高山が左中間へ伸びる本塁打を放つ。

「追加点を入れたかったので、ストレートを捉えることができてよかったです。左中間への本塁打は初めてです」

　これで高校通算14本目。スイングスピードは速く、軸足にしっかりと体重を乗せて打つことができており、1年生の時と比べると長距離打者仕様のスイングに変わっている。スローイングタイム2.00秒前後を叩き出しており、浦和学院は例年、好捕手は多いが、身体能力特化系の大型捕手は久しぶりだ。高山は中学時代、本格派右腕として活躍していた逸材だ。捕手転向のきっかけは2年春にベンチを外れたことだという。

「バッティングキャッチャーをやっていたのですが、試合に出るとすれば捕手しかないと思い、直訴して森前監督も認めてもらいました」

　夏の大会前、森大監督に話をした時、転向してすぐに様になっていたことを聞いて、いつか活躍時に取り上げようと思っていた選手だった。

「打撃に専念するために6番打者にしたのですが、大暴れしてくれましたね」。森大監督も活躍を称えた。

　そして2番手・金田優太が好投。右スリークォーター気味から135キロ〜138キロの直球はナチュラルに変化する。さらにスライダーの切れもよく、7回以降は強打の向上打線をぴしゃりと抑えた。リードする高山は「ナチュラルに変化するストレートで勝負しようと思っていました。変化球もしっかりと決まって良かったです」と好リリーフを支えた。

　今年の浦和学院は上位打線を中心に強打者が揃う。例年、レベルが高い浦和学院だが、メカニズムを見ても、「こんなに飛ばせる選手たちなのか…」と驚きを隠せない。森大監督は県大会が終わってから1ヶ月かけて、すべてを見直し、そして打撃を徹底強化してきた。森大監督は選手たちのポテンシャルの高さを信じて、前向きな言葉をかけ続けてきた。

「攻撃的な野球を心がけ、失敗は気にしないよう送り出しました。それが後半のファインプレーに繋がっていたと思います」

　準々決勝は強敵・桐生第一と対戦。打線も、投手力も非常に高いチームだ。果たして実力を発揮できるか。

（取材＝河嶋 宗一）

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三塁打を打つ高山維月（浦和学院）

試合スコア