試合レポート

國學院久我山vs日大三

2021.07.31

東京ドーム初の高校野球!國學院久我山 エース・高橋の力投で日大三を破る

 東京ドームで高校野球の公式戦が初めて行われるという歴史的な試合。第1シード・日大三國學院久我山が挑んだ一戦であるが、國學院久我山は秋や春とは違うチームのように成長を遂げ、日大三を下した。

 試合開始当初は、特別な試合の緊張感があったが、それを切り裂いたのは、2回表日大三の7番・鎌田慎也が東京ドームのレフトスタンドに叩き込んだ本塁打だった。しかし國學院久我山の尾崎直輝監督は、「打たれることは覚悟していました」と、さほど気にしなかった。

 日大三先発の左腕・宇山翼は、コントロールが決して悪いわけではないが、突然ストライクが入らなくなることがある。2回裏國學院久我山は、4番・原田大翔が四球で歩き、驚異の下位打者である6番・下川邊隼人の二塁打でまず同点に追いつく。さらに8番・藤原健祐の中前安打で下川邊がかえり逆転した。

 それでも日大三は3回表、今度は1番・星憂芽がライトスタンドに突き刺さる本塁打を放ち、同点に追いつく。この代の日大三では珍しい一発攻勢だ。けれども國學院久我山の尾崎監督が、「負けず嫌いの子です」と言う國學院久我山の先発・高橋風太は、本塁打を2発浴びた後は、安定した投球をする。それを中堅手・齋藤誠賢のファインプレーなどで盛り立てる。

 國學院久我山は4回裏、中前安打の7番・上田太陽を1番・内山凜が右中間を破る三塁打でかえし、勝ち越した。さらに、6回裏には敵失もあり、1点を追加する。

 反撃に出たい日大三は8回表、4点を失ったものの、粘り強い投球を続けていた宇山に代えて、代打・浅倉大聖を送り、浅倉は四球で出塁すると、すぐに代走・寒川忠を送り、勝負に出る。寒川は1番・星の中前安打で三塁に進み、2番・齋藤広空の中犠飛で生還したが、反撃もここまで。國學院久我山の高橋が9回表日大三の攻撃をしっかりおさえて、勝利した。


 日大三は6安打、3点に抑えられて敗れたが、「コントロールも落ちるボールも良かったです」と日大三の小倉全由監督は、國學院久我山の高橋投手の好投を称えた。小倉監督は、コロナ問題が生じる前から選手の健康管理には気を使っていたが、コロナの感染拡大により冬合宿などでは朝練の回数を減らすなど、さらなる対策を迫られた。「免疫力を落としてはいけないので、どこまで追い込んでいいのか?」と、手探り状態の中でチームを築いてきた。

 2001年、2011年と猛打で全国制覇を遂げた日大三であるが、今回のチームは当時のような爆発力はないものの、しっかり守って、少ないチャンスを物にする伝統校らしいチームにであったが、國學院久我山の奮闘の前に、準決勝で姿を消した。

 國學院久我山は甲子園に行った2年前の夏も準決勝で第1シードの東海大菅生を破り、そのまま優勝した。2年前もそうだが、今回も秋や春は欠点だらけのチームが、夏にはしっかりとしたチームを作ってくる。

 「自分で考える。やらされるのでなく、自ら考えることが大事です」と尾崎監督。負けの中から選手のモチベーションを引き出す尾崎監督の指導は興味深い。決勝戦は2年前の夏に勝っている東海大菅生だ。リベンジを目指す秋の王者・東海大菅生にどう挑むか。楽しみな決勝戦になりそうだ。

(取材=大島 裕史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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