試合レポート

花咲徳栄vs春日部東

2021.07.17

花咲徳栄がMAX142km左腕・福井を攻略、コールドで3回戦進出

 [stadium]県営大宮球場[/stadium]の第三試合は優勝候補・花咲徳栄対東部の強豪・春日部東との一戦である。

 まずはスタメンだが、花咲徳栄はピッチャー以外は関東大会の最後、常総学院戦と同じスタメンである。変更点と言えば、今春苦しんでいた3番・浜岡 陸(3年)か。主将を飛川 征陽(3年)に譲りフォームも春から大幅に変更している。過去にも若月や西川など多くの打者がこのスタイルを取ってきたが、彼も同様に花咲徳栄に代々、脈々と伝わる「神主打法」に変え、早速前の試合で3安打とまずは順調なスタートを切っている。

 そして先発は、花咲徳栄がMAX140kmの2年生右腕の金子 翔柾、一方の春日部東はMAX142km左腕・福井 悠朔(3年)が登板し試合が始まる。

 先制したのは花咲徳栄であった。

 花咲徳栄は初回、春日部東・福井の立ち上がりを攻め、先頭の鹿野 亮太(3年)が右中間へ二塁打を放ち出塁すると、一死後、3番・浜岡、4番・冨田 隼吾(3年)が連続四球を選び一死満塁とチャンスを広げる。二死後、6番・澤口 滉(3年)も押し出しの四球を選び幸先良く1点を先制する。

 1点を追う春日部東もすぐに反撃を開始する。

 春日部東は2回裏、この回先頭の金子 将慶(3年)が三振振り逃げで出塁すると、続く阿部 雅己(3年)も四球を選び無死一、二塁とチャンスを広げる。だが、6番・福井は送れず三振に倒れると、続く横山 勇太(2年)の所でのバスターエンドランを仕掛けるも空振りで三塁封殺されてしまう。それでも、横山はショートへの内野安打を放ち二死一、三塁と再度チャンスを広げるが、後続が打ち取られ無失点に終わる。

 すると、花咲徳栄は4回表、この回先頭の味谷 大誠(3年)が四球を選び出塁すると、続く澤口もレフト前ヒットを放ち無死一、二塁とする。


 ここで春日部東ベンチが動く。
「彼はフィールディングが良く、ホップ成分(回転数)の多い投手なので」(長野監督)
と、福井からエース右腕の毛利 太陽(3年)へとスイッチする。毛利は期待に応え、犠打を狙った7番・加藤 大地(3年)をキャッチャーフライに打ち取るが、続く金子に三塁線を破るタイムリー二塁打を浴び2点目を失う。

 花咲徳栄は5回表にも、一死から3番・浜岡、4番・冨田が連続四球を選び一死一、二塁とする。続く味谷が左中間へ2点タイムリー二塁打を放つと、続く澤口もセンター前タイムリーを放ち5点差をつける。

 こうなると、花咲徳栄の流れは止められない。

 花咲徳栄は6回表、5回途中から再登板している福井に対し、この回先頭の澤口が死球で出塁すると、続く加藤はキャッチャーへのファールフライに倒れるが、一走・澤口がきっちりとタッチアップを決め一死二塁とする。二死後、9番・秋山 貫太(3年)も死球で出塁し二死一、二塁とチャンスが広がる。さらに、続く鹿野がショートへの内野安打を放つと、その間に二走・澤口が一気に本塁を奪いまず1点、さらに2番・飛川もショートへのタイムリー内野安打を放つと、続く浜岡がライト越えの2点タイムリー二塁打を放つ。結局この回一挙4得点のビックイニングとしコールドペースへと持ち込む。

 投げては、先発の金子が春日部東打線を5回無失点に抑えると、6回からは堀越 啓太(3年)、最後は松井 和真(3年)が締める。

 終わってみれば花咲徳栄が7回コールド9対0で春日部東を下し4回戦へ進出した。


 まずは春日部東だが、打線はこの日本来の持ち味であるフルスイングを捨て食らいついていった。投手陣も序盤こそ、福井の荒れ球が奏功し花咲徳栄打線を封じていたが、巡目ごとにアジャストしてくる花咲徳栄打線の前に最終的には福井、毛利ともに捉えられてしまった。
「いつもカーブでカウントを取っているんですが、今日はそれがうまく決まらなくて緩急を使えなかった。直球はアウトハイやインローいわゆるL字で攻めることはできたんですが。1、2巡目は粗削りだなと思っていたんですが修正してきた。以前、岩井先生がテレビで言っていた、相手にもらったチャンスを物にするという方針があるのはわかっていたので、余計な四死球は出さないようにと思っていたんですが」
と、福井は試合後消え入りそうな声で反省の弁を述べていたが、
「日の目を見てほしいパワーピッチャー。全国屈指の花咲徳栄打線に対し、逃げずに勝負してくれた」と、長野監督は試合後彼を誉めていた。今後は大学で投げたいと言っていたが、時折指にかかったボールは非凡なものを感じるだけに、上のレベルでも見てみたい投手である。

 一方の花咲徳栄だが、序盤こそやや狙い球の徹底が出来ずフライアウトが多かったが、巡目ごとの修正力はさすがだ。また、金子は時折肩の開きが早くなり、ストライクとボールがはっきりする場面も見受けられたが、総じて安定感がある投手であり大崩れはしない。まだまだ、道のりの途中であり投打に修正点はあるが、ここという所での集中打は既に出ている。何よりプロ注目・浜岡の復調が大きい。の今後さらにギアを上げてくるであろう花咲徳栄、次戦で本領発揮なるか。

(文=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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