京華vs青井・足立東・三商
3年生マネージャーのために 下級生11人の連合チームが挑んだ夏
11日の江戸川区球場の3試合目は、京華と青井・足立東・三商の3校連合チームが対戦した。
初回、後攻の京華は3番・田村悠太朗のタイムリーで先制すると、2回に2点、3回に3点を追加するなど小刻みに点数を重ねる。3校連合も京華を追いかけようと、4回に3番・広渡大貴のヒットなどでチャンスを作る。ここで1点でも返して流れを変えたいが、京華の先発・岡田翼の前にホームが遠い。
すると京華は7対0で迎えた4回、8番・手塚裕貴の犠牲フライや相手のエラーなどで一挙に6点を追加する。13対0と試合を決定づけた京華は連合チームの5回の攻撃を0点に抑えてゲームセット。5回コールドで京華が勝利した。
この試合、両チームのメンバーを見ると、京華は19名がベンチ入りして3年生は7人入った。残りの12人は1、2年生で先発メンバーには「制球が安定していて、一番試合を作れる」ということで1年生の背番号11・岡田がマウンドに登るなど4人を起用して、現時点で信頼できる京華のベストメンバーで挑んだ。
その中で初戦で勝利したことは「ほっとしています」と飯塚監督は胸をなでおろした。また公式戦初先発の岡田は「普段はあまり緊張しませんが、この試合はさすがにお客さんもいて緊張しました。でも今回で分かったので、次回は大丈夫だと思います」と次戦以降は経験を活かして、初回から平常心でピッチングをしていくことを誓った。
一方で敗れた3校連合は11名がベンチに入り、3年生の選手は誰もない。マネージャーの長谷部美夢さんが唯一の3年生だった。
選手たちはこれからも大会が続く。そういった意味では、この夏に経験を積むことは次に繋がっていく。ただ、3年生の長谷部さんにとっては最後の夏である。負ければ引退で、想いはどの大会よりも強い。そんな長谷部さんへの想いは選手も監督も強い。
「長谷部のために集まりましたし、私たち大人や選手たちのなかでは『長谷部のために。長谷部の夏をサポートしよう』と思って勝つための努力をして、この夏を戦っていました」(小松崎監督)
「練習中には自分たちのことを想って厳しく指摘してくれますが、優しくしてくれる一面もある先輩マネージャーでした。想いだけではダメかもしれませんが、とにかく1勝を届けたい。勝たせてあげたいと思って戦っていました。」(広渡主将)
長谷部さんは普段から献身的にチームをサポートし、京華戦に向けても勝つための分析をして準備をしてきたとのこと。そんな長谷部さんのためにも連合を組んだ。ただ結成するまでに時間がかかり、一緒に活動できたのはこの試合を含めてわずか3回だけだという。練習1回、練習試合1回を通じてだが、コミュニケーションをとってチームワークは深めてきた。そして迎えた3回目は大事な初戦で、勝利を目指して戦った。
結果は5回コールド負けと長谷部さんに白星は届けられなかった。それでも「去年も初戦敗退でしたので、次こそは1つでもいいので、勝ちを届けたいと思います」と広渡主将は1年間高校野球に打ち込み、1年越しで勝利を届けることを誓った。
(取材=田中 裕毅)
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