常総学院vs花咲徳栄
選抜からの経験生かした常総学院が花咲徳栄との打撃戦制す!
4番キャッチャー・田邊 広大(常総学院)
花咲徳栄は大会4日目で3試合目。疲労の状態が色濃く出ているのが感じられ、また常総学院はエース・大川 慈英がベンチスタートで、秋本 璃空がベンチ外。この2人以外の投手陣は紅白戦や練習試合を見ていると、どうしても花咲徳栄相手には苦しい。主将・田邉 広大は「この試合は打ち勝つぞ!と監督さん(島田 直也監督)からいわれていたので、なんとしても打ち崩したい思いがありました」
試合は打撃戦となった。
まず1回表、花咲徳栄は常総学院の先発・石川 大翔を捉え、一死満塁から5番味谷 大誠の2点二塁打、さらに犠飛で3点を先制。しかし花咲徳栄の先発はここまで149球を投げている松田 和真は140キロ台のストレートは影を潜め、4番田邊 広大、5番柴田 将太郎、6番宮原 一騎の3者連続適時打ですぐさま同点。松田は1回で降板。2回裏から金子 翔柾が登板。金子は2番伊藤 琢磨の適時打で勝ち越し。さらに4回裏には、一死満塁から3番三輪 拓未が左超え二塁打、4番田邉の犠飛で7対3と突き放した。
しかし5回表、花咲徳栄も5番澤口 滉の適時打、6番加藤 大地の適時二塁打、さらに2番飛川 征陽の走者一掃の適時二塁打で8対7と試合をひっくり返す。
常総学院は7回裏に反撃開始。連打でチャンスを作り、3番手の堀越 啓太がマウンドに登る。一死一、三塁の場面でワイルドピッチ、二死満塁から途中出場の加藤颯の2点適時打で10対8と試合をひっくり返す。
勝利を決めた常総学院 ベンチに戻る大川 慈英(常総学院)
投手力が高い花咲徳栄から14安打10得点。茨城県大会決勝から3試合連続で二桁得点。準々決勝の明秀日立戦では好左腕・飯田 真渚斗から15安打、準決勝の水城戦では好投手・樫村 佳歩を攻略し、8得点を上げるなど、センバツと比べればまるで別のチームだ。
主将の田邊自身、センバツ時では全く打撃が出来上がっていなかったと振り返る。センバツに帰って「つなぐのがうちの打撃の持ち味ですが、もう一度、自分のフォームを突き詰めて、自分のスイングで打てるように打撃練習を心がけていました」
さらに転機となったのは明秀日立戦から4番に起用され、「これまでミートする事を考えていましたが、思い切って、強くスイングをしようと考えました」と結果的に9回裏に同点打。準決勝では本塁打を放ち、関東大会でも勝負強い打撃を見せている。また関東大会で打率.571とあたっている柴田 将太郎はコーチとともにインパクトまでスムーズに振り抜ける軌道を実現するために、改造を行い、才能が開花。東農大二戦で高校通算6本塁打目を放っている。
また戦い方もどっしりしてきた手応えもある。田邊はセンバツでの経験が今の試合運びにつながっている。
「このチームになって初めて大観衆の下でプレーして、1つのプレーで大きなアクションもありますし、また敦賀気比戦ではすぐに4点をとることができたのですが、気づいたら同点になっていた感覚で、いろいろなことに気づけた大会でした。どんなことがあっても、それに応じて試合運びができるようにしようと伝えてきたことが形になっています」と語る。
「秋本がいないので、苦しいですが、その分、チーム力が上がるチャンスなので、秋本抜きで関東優勝して、秋本が戻って、良い状態で夏を迎えたいです」と関東優勝することを誓った主将の田邉。センバツでの経験値をしっかりと生かしており、続く準決勝の関東一戦でも真価を発揮できるか問われる。
(取材=河嶋 宗一)