花咲徳栄vs佐野日大
強打の花咲徳栄、佐野日大を力で押し切る!
ホームランを打った2番・飛川 征陽(花咲徳栄)
15日の東海大甲府戦では5回コールで勝利した花咲徳栄。連戦となった16日は佐野日大との試合は、再び攻撃陣が奮起。7対1で佐野日大を破って準々決勝進出を決めた。
花咲徳栄の先発はエース・松田 和真。試合開始直後からの雨もあり、立ち上がりから制球に苦しむ。佐野日大1番・川崎 大也のヒットなどで無死一、二塁を招くと、3番・大関 日和にはタイムリー内野安打。佐野日大に先制を許す形となる。
しかし、直後の攻撃で花咲徳栄は「当たった瞬間に抜けることがわかった」という7番・加藤 大地の手ごたえ十分のレフトへのタイムリーなどで一挙4得点。これで勝ち越した花咲徳栄は4回に4番・冨田 隼吾の中押しのタイムリーで5対1とした。
援護を受けた花咲徳栄の松田は、ランナーを背負う投球が続き苦しい時間が続いたが、「開きが早くてボールが抜けたので、いつも以上に左腕を意識しました」とすぐさま修正。粘り強い投球で佐野日大の反撃を許さなかった。
すると6回には1番・鹿野 亮太と2番・飛川 征陽の連続ホームランで7対1と突き放すことに成功。その後、8回に金子 翔柾、9回に堀越 啓太と継投してそれぞれ失点したが、7対4で花咲徳栄が勝利した。
持ち前の打線が佐野日大を前にも発揮された花咲徳栄。「良いところで打ってくれた」と打線の出来を評価。なかでも「加藤のタイムリーは大きかった」と勝ち越し打を放った加藤の打撃を称賛した。
その加藤は県大会では2試合に出場して打率.200という決して好調ではなかった。またこれまでの試合ではチャンスが来た時は「気持ちの部分で弱気になってしまい、チャンスをつぶしてしまうことが多かった」と自身のなかでは課題になっていた。
しかし、佐野日大戦では「先発に起用してくれた期待に応えよう」と気持ちを奮い立たせ、浮いてきた真っすぐを振り抜いた。予めテイクバックを大きくとっておいた構えから、足を小さく上げながらタイミングを測る加藤。目線のズレを減らした無駄の少ないフォームから、鋭いスイングで打球を飛ばした。東海大甲府戦ではベンチスタートだったが、見事起用に応える打撃だった。準々決勝以降も快音を響かせることを期待したい。
一方で敗れた佐野日大。花咲徳栄の投手陣の前に県大会で見せた攻撃力を封じられる形なった。しかし注目の3番・大関はヒット2本で打点1。4番・岡佐 昌樹も2本のヒットで1打点を記録と、存在感を示す結果といっていい。
大関は始動自体は遅いが、開きを抑えながら、回転する時は軸足となる右足を素早く回してボールを捉える。上からきっちりとバットを出してボールを叩いているのが印象的だった。
また4番・岡佐はバランスよく立ち、非常に風格を感じさせるスラッガー。スイングは鋭く、ふり幅も大きい。夏の大会でも快音を響かせてくれそうな期待を感じさせるバッター。また守備ではサードから軽く投げてもライナー性のボールを投げ込む強肩ぶり。守備全体に余裕が見られる。攻守にわたって活躍が楽しみだ。
そして投手陣に目を向けると、先発した佐野日大・大門 稜平はバランスの取れた綺麗なフォームをしていた。両腕を内旋させながらテイクバックをとり、腕を振り下ろしていく。オーソドックスな投手ではあるが、決め球となるボールがなく痛打されている印象だった。夏までにどれだけボールの質を高められるかが楽しみなポイントだ。
逆に2番手で登板した齋藤 怜は自身の投球スタイルを確立していた。セットポジションから開きを抑えながら重心移動をしていくと、全身を使って角度のあるボールを投げる。そこに緩急をつけたカーブ。さらにスライダー系の落ちる変化球を低めに集める投球で、花咲徳栄打線の勢いを一時は止めた。
しかし浮いてきたところを痛打されて追加点を献上。勿体ない失点だった。どれだけ精度を高めていけるかが今後の課題となりそうだ。
(取材=田中 裕毅)