近江vs綾羽
近江が5年連続の近畿大会出場を決める
2失点完投の山田陽翔(近江)
近江が綾羽を下して、5年連続22回目の近畿大会出場を決めた。
近江の先発は夏の独自大会でも活躍した山田陽翔(1年)。治田西スポーツ少年団時代のチームメイトで、この秋に投手から捕手に転向した島瀧悠真(2年)とバッテリーを組むことになった。
立ち上がりは二死から3番・金城颯把(2年)に二塁打を浴びるが、続く村上憲伸(2年)をショートライナーに打ち取り、先制点を与えない。
近江はその裏、二死二塁のチャンスを作ると、4番・新野翔大(2年)が一塁手のグラブを弾く適時打を放ち、二塁走者の井口遥希(2年)が生還。幸先よく先制点を奪った。
さらに近江は4回裏、相手守備の乱れから一死二、三塁とすると、7番・島瀧の中犠飛で1点を追加。なおも二死三塁とチャンスは続き、ここで8番・西山嵐大(2年)が左中間に適時二塁打を放ち、リードを3点に広げた。
前半から劣勢を強いられた綾羽だが、5回裏から登板した中野冬馬(1年)が低めを丁寧に突く投球で流れを呼び込むと、7回表に無死満塁のチャンスを作る。ここで8番・中原果也(2年)が左中間に2点適時二塁打を放ち、1点差とする。なおも無死二、三塁と逆転のチャンスが続いたが、「集中力を入れ直して、下半身を使って投げることを意識しました」と山田が後続を三振、遊撃ゴロ、中飛で打ち取り、逆転を許さない。
近江は8回裏に山田の適時打で1点を追加。最終回も二死二塁と得点圏に走者を背負ったが、最後の打者を三振に仕留めて試合を締めくくった。山田は被安打6、12奪三振で完投勝利。7回以降は苦しい投球を強いられたが、要所で力のあるところを見せつけた。
後半に相手の反撃を許し、「生きた心地がしない。寿命が5年縮まりました」と苦笑した近江の多賀章仁監督。3回戦以降は2点差以内の接戦が続いているが、厳しい試合もキッチリとものにする勝負強さは世代が変わってもしっかりと受け継がれている。
近畿大会に向けては「16番目のチームだと思っていますが、目指すところは頂点」(多賀監督)と高い目標を掲げている。今年のチームは主将の春山陽生(2年)を中心に雰囲気良く練習を行えており、「シートノックの質が高い。このチームは伸びしろがあると思います」と多賀監督の評価も高い。過去2年は近畿大会初戦での敗退が続いているが、何とか3年ぶりのセンバツ切符を掴みたいところだ。
綾羽は「守備のミスが前半に出たのが悔やまれます」と千代純平監督が話すように失策が得点に絡んで、先行を許したのが痛かった。それでも中野の好投や後半の反撃には今後に期待を抱かせるものがあった。近年は4強が一つの壁になっているが、それを打ち破れる日はそう遠くないはずだ。
(文=馬場 遼)