狭山清陵vs春日部工
追われてもマイペースに。春日部工の追撃に動じずに逃げ切った狭山清陵がベスト16入り!
狭山清陵先発・金愛斗
狭山清陵と春日部工の3回戦への切符をかけた一戦は、狭山清陵が初回から試合のペースを握る展開となる。
2回、狭山清陵は先頭打者の4番・村田大輝がセンター前、5番・西塚空翔のレフト前でチャンスを作ると、併殺打の間に先取点をもぎ取る。3回にも2番・丹羽将栄、3番・武内優真のタイムリーなどで3点を追加して4対0と序盤から春日部工を突き放しにかかる。
しかし春日部工も黙っていない。4回に4番・関栞太郎のセンター前で反撃のキッカケを作ると、狭山清陵の守備にもミスが生まれるなど3失点。4対3で1点差まで詰め寄られることになる。
ただ、狭山清陵が再び突き放す。4回に相手のバッテリーミス。5回は5番・西塚、6回には2番・丹羽のタイムリーでそれぞれ1点ずつを追加して7対3と試合の主導権を渡さない。
リードしてもらった狭山清陵の先発は背番号17を付けた金愛斗。4回に一気に3失点したが、その他の回はピンチを背負っても粘りのある投球。6回を投げて降板したが、伸びのあるストレートに切れ味鋭いスライダーを軸に、リズムを作る投球を見せてくれた。
その後、8回に1点ずつを取り合って8対4で迎えた9回、春日部工は1番・藤堂史也が二塁打でチャンスを作り、2番・大塚滉太のタイムリーで8対5。追撃ムードを出したが、狭山清陵の背番号12・中西拓幹が追加点を与えずにゲームセット。狭山清陵が春日部工を8対5で下して3回戦への切符を掴んだ。
春日部工先発・大塚滉太
先発としてゲームを作った金は最速130キロ前後ではあるが、全体のバランスが良く、きっちりとトップを作ってから鋭く縦回転で体をひねって、スピンの利いたストレートを投げ込んでいた。コントロールもまとまっており、総合力が高い印象だが、金の中では制球力は課題の1つ。
これを改善すべく、15メートルほどの距離で投げ込みをすることで、コントロールへの意識を傾ける余裕を作り、レベルアップを図っている。そのなかでポイントは右膝だ。「右膝を折ることなく、軸足1本で立てればお尻に重心を乗せた状態で移動ができるので、結果としてコントロールが良くなっています」。
遠山巧監督も課題に掲げているスタミナなど、取り組まなければならないことは多いが、今後の成長が楽しみな投手だ。
狭山清陵の遠山監督は「今年のチームは自分たちの実力をわかっているので、追い上げられてもマイペースに戦えていたと思います」と語り、試合を通じて攻撃面などで成長していることを実感している。春日部工との戦いも同じく成長の糧にして、3回戦でも成長した姿を見たい。
一方で、追い上げていくもあと少しが届かなかった春日部工。ベンチ入りメンバーを見ると1年生が多く、文字通り1からのスタートとなっていた。新田裕康監督は「よく県大会まで来たと思います。下舘空斗主将を中心によく考えて練習をやったと思います」と下舘主将の働きを称賛した。
その下舘主将は「今年は2年生が少ないので、5人全員で1年生を引っ張っていこうとしています」と2年生全員でチームを作ったことが大きかったと分析した。狭山清陵戦は目立ったミスが多く、そこから失点こと。さらに武器であったつながりのある打線が機能せずに敗れた。
ここから再び練習に向き合う時間が増えていく。1年生が多いと言うことは伸びしろが長いとも考えられる。春になったとき、春日部工がどれだけレベルアップしているのか、楽しみにしたい。