滋賀選抜vs龍谷大
滋賀選抜が初実戦で大学生相手に勝利を飾る
田上友一朗(滋賀学園)
今年、滋賀県高野連は選抜チームを組み、12月25日から30日までオーストラリア遠征を実施。クイーンズランド州選抜と5試合を戦うことが予定されている。監督はかつて北大津を6度の甲子園に導いた宮崎裕也氏(現・安曇川高教員)が務める。選抜された18選手は以下の通り(学年は全員2年)。
【投手】
池田駿平(八日市)
泉竜成(野洲)
川端駿介(甲西)
小辻鷹仁(瀬田工)
田上友一朗(滋賀学園)
隼瀬一樹(伊香)
山本季(水口)
【捕手】
岩田佑真(東大津)
景山透唯(立命館守山)
北村龍之介(彦根翔西館)
【内野手】
大橋青宙(近江兄弟社)
長昂汰(水口東)※この日は発熱により欠場
千本峰久(比叡山)
土田龍空(近江)
日比達也(綾羽)
松田陸(光泉)
【外野手】
竹島楓斗(八幡商)
中島大智(彦根東・主将)
県全体のレベルアップを図る狙いから1校につき、1選手という選考方法になった。その中でも投手は21世紀枠近畿地区推薦校となった伊香のエースである隼瀬に滋賀学園のエース・田上、野手では来年のドラフト候補である近江の土田や立命館守山の近畿大会初出場に大きく貢献した景山、1年秋から光泉の4番に座る松田など投打にバランスの取れた陣容となっている。
チームとしては7日に初練習、14日に初実戦として龍谷大との練習試合を行った。龍谷大は投手以外が全員1年生という布陣。1番・田中勇也(智辯和歌山出身)、3番・奥田一聖(大阪桐蔭出身)、4番・藤高祐一郎(高知商出身)、5番・茨木祐哉(乙訓出身)と主軸に甲子園経験者が並ぶ豪華なラインナップだ。
先発を任されたのは田上。制球に苦しみ、いきなり一死一、三塁のピンチを招くが、力のある速球で藤高、茨木をそれぞれ三飛に打ち取り、先制点を許さない。
田上は2回を無失点に抑えると、3回からは隼瀬が登板。いきなり二塁打を浴びると、犠打と犠飛で先制点を与えてしまう。それでもノビのあるストレートは健在で、奥田と藤高をストレートで三振を奪うなど、力のあるところを見せつけた。
景山透唯(立命館守山)
さらに5回にはスクイズで1点を奪われ、2点ビハインドで前半を終える。不慣れな木製バットでの試合ということもあり、打線は5回まで2安打に抑え込まれた。
それでも6回裏、先頭の4番・景山が中前安打で出塁すると、四球と内野ゴロで一死二、三塁から相手の失策の間に1点を返す。さらに二死一、二塁から9番・竹島が中前適時打を放ち、同点に追いついた。
続く7回には四球と盗塁で二死二塁のチャンスを作ると、景山が右前適時打を放ち、勝ち越し点を挙げる。このリードを守り切った滋賀選抜が3対2で勝利を収めた。
この試合で3安打と活躍を見せたのが4番の景山だ。立命館守山では4番捕手兼リリーフ投手の二刀流でチームを滋賀大会準優勝に導いた。普段は竹バットで打撃練習を行っているようで、この日も「いつも通りのスイングができていた」と振り返った。
立命館守山は近畿大会初戦で大阪桐蔭と対戦して、1対19の5回コールド負け。全国クラスの強豪を相手に洗礼を浴びる形となった。近畿大会後のチーム状況について聞いてみると、「練習に対する態度や普段の行動が変わってきました。大阪桐蔭戦のおかげでチームは成長できたと思いますし、全員がプラスに捉えています」と答えた景山。全国トップクラスのチームと対戦したことでチームの意識は変わってきたようだ。
今回のオーストラリア遠征でも「経験したことをチームに伝達して、自分たちのチームが強くなればいいと思っています」と多くのことを吸収しようと貪欲な姿勢を見せている。来夏に甲子園初出場を狙う新鋭校のキーマンに今後も注目だ。
急造チームながらもしっかりと勝利を収めた滋賀選抜。試合後にはサインプレーの練習を行い、チーム力の向上に余念がなかった。今後は15日にも龍谷大と練習試合を行い、オーストラリア遠征に備える。各選手にとってこの期間が実りあるものになり、経験をチームに持ち帰って、各校のレベルアップに繋げてほしい。
(取材・写真=馬場 遼)