都立鷺宮vs成城
都立鷺宮が延長を制して都大会へ 成城は試合終了目前のエラーが響く
追加点を挙げる都立鷺宮
「高校生らしいとというか、やっぱり最後は弱さが出たのかなと思います」
試合後に金木一弘監督が語った言葉が、この試合を象徴していた。東京都大会進出を掛けた一戦は、延長11回に及ぶ激戦となったが、ここ一番でのミスが勝負を分けた。
4回に5番の且元康治郎に本塁打が飛び出すなど、試合の前半までは成城が試合を有意に進めていた。
だが後半戦に入ると、ここから都立鷺宮はじわじわと流れを引き寄せた。
6回表、都立鷺宮は無死一、二塁のチャンスから6番・前田のタイムリーで1点差に迫ると、9回には二死三塁から4番・浅野龍のゴロが相手野手の悪送球を誘い、土壇場で同点に追いつく。
そして同点で迎えた11回表、都立鷺宮は二死一、二塁から5番・石井俊介がライト前タイムリーヒットを放って、ついにリードを奪う。
投げては9回途中から登板した背番号20のサイドハンド・丸谷義仁が好リリーフを見せて、11回裏の成城の攻撃も無難に断ち切った。試合は4対3で都立鷺宮が競り勝ち、都大会進出を決めた。
試合後、都立鷺宮の杉山真司監督は、高校として久々の都大会進出に安堵の表情を見せ、選手たちの活躍を笑顔で労った。
逆転のタイムリーを放った石井俊介(都立鷺宮)
「都大会には10年くらい行ってなかったので、歴史が変わりました。チームとして右打ちを徹底していましたが成果が出たのかなと思います。丸谷も夏に厳しい場面で投げさせているので、信用して投げさせました」
また安堵の表情を見せたのは、杉山監督だけではない。逆転タイムリーを放った石井は、前の打席での失敗を勝ち越しタイムリーで取り戻せたことに安心した気持ちを口にした。
「前の打席で(チームの)流れを変えてしまったので、打てたことは嬉しかったです。都大会でも一戦一戦、戦いたいと思います」
一方、敗れた成城は9回表の勝利目前でのエラーが悔やまれた。金木一弘監督は、選手たちの精神面での弱さを上げて、来春に向けて立て直しを誓った。
「弱さが出ました。9回のエラーが象徴しています。これは練習で克服していくしかありません。この負けを経験して、今後どれだけ克服できるかだと思います」
都立鷺宮の都大会での戦いぶり、そして成城の来春以降の成長に目が離せない。
(文=栗崎 祐太朗)