習志野vs芝浦工大柏
覚醒の兆しを見せる習志野のスラッガー・櫻井亨佑と急浮上を見せる1年・小林風太
2番の小林風太(習志野)
この夏、8年ぶりの甲子園出場を果たし、3季連続の甲子園出場を目指す習志野が秋初戦を迎え、12対0の5回コールド勝ちで芝浦工大柏を下し初戦突破を決めた。
新戦力とレギュラーがうまく融合した試合だった。新戦力で活躍が光ったのは2番・小林風太だろう。
第1打席、低めの変化球を流して左前安打。第2打席もしぶとく中前安打を放つ。この2打席を振り返ると、いずれもタイミングを外れながらもヒットゾーンに運んだものだった。
小林の動きを見ると頭が突っ込まず、さらにバットの振りだしが遅く、ギリギリまでボールを呼び込んでから、ヒットゾーンに打ち返すバットコントロールの広さは特筆すべきものがある。態勢を崩されながらも、頭が突っ込まず、打ち返すところは同じ佐倉シニアの先輩である根本翔吾にはない強みだといえよう。またレフトの守備を見ると、一歩目の反応も速く、守備範囲は広い。スローイングも強さもあり、レフトとしてハイレベルな選手だ。
小林は3安打目をポテンヒット、4安打目は左中間を破る三塁打。この三塁打は普通の打者ならば二塁打ゾーンだが、小林の脚力だからこそ三塁打にできたものだった。
1年春からベンチ入りしている選手ではあるが、半年かけて急速に成長を見せている選手だろう。
4番の櫻井亨佑(習志野)
そして3安打6打点の活躍を見せた4番・櫻井亨佑は上級生として自覚を持つようになったのか、攻守で引っ張る意識が見られた。
第1打席は凡退したが、第2打席はライト前へ痛烈な2点適時打を放つ。第3打席もセンターへのポテンヒットを放って、これもタイムリーとなり3打点目を挙げた。そして第4打席目は、高めに浮いたボールを逃さず振り抜き、これが打った瞬間、本塁打とわかるライトスタンドへのコールド勝ちを決める特大3ランとなった。
櫻井といえば、フォロースルーが大きい豪快なスイングが特徴的。コンパクトでありながら小さくまとまらない素晴らしいメカニズムだった。
また守っている最中に仲間に声をかけてポジショニングの指示をしたりと、次のプレーを予測する声を出したりと、視野を広く持ってプレーできているのも好感が持てる。
全国的に見ても櫻井ほどスケール、長打力を持った大型一塁手はいない。全国区のスラッガーへ成長を遂げるか、注目していきたい。
(記事=河嶋 宗一)