岩倉vs東京学芸大附
課題を残して都大会に進んだ岩倉。今一度レベルアップして本番を迎える
得点シーン
1年生から活躍した宮里優吾、坂本一樹、そして荻野魁也バッテリー中心に今夏の東東京でベスト16になった岩倉。一次予選では今夏を経験するメンバーが、主将の島崎ら3人だけがベンチに入り。残りは全員夏を経験していない。本当の意味でゼロベースからチームを作った。その岩倉、「今年は長打よりも小技を使いながら単打で繋ぐチーム」だと豊田監督は語る。その言葉通り、2対1で迎えた2回、先頭の7番・島崎がヒットで出ると、送りバントで得点圏に送る。
その後、「1年生でキャッチャーなので負担を減らす意味でも9番に置いていますが、ミート力はある」と豊田監督から評価される9番・庄がタイムリーを放ち追加点。さらにバントヒットと送りバントでチャンスを広げて、3番・西野のタイムリーで追加点を奪う。こういった繋いで点数を重ねるのが今年の岩倉の攻め方なのだ。
3回にも点数を重ねた岩倉だったが、先発の勝村がピリッとしない。2回までで打者11人に41球で3四死球とリズムを作れず降板。2番手・岩上にリレーする。しかし岩上も立ち上がりを叩かれて2失点。結果1イニングで降板して、3番手・堀込へ。
セットポジションから始まる堀込の投球フォームはバランスがいい。縦回転を意識したフォームでストレートも変化球も切れがいい。その堀込がランナーを出しながらも、しっかり抑えると6回に打線爆発。一挙6得点で引き離した。
最後は東京学芸大附に追撃を許すも逃げ切って15対6で都大会の切符を掴んだ。
主将・島崎陵馬
試合後、「攻撃はウチらしくできましたが、守備でほころびが出た。ここまでミスがなかったので、想定外でした」と反省の一言を語った豊田監督。また「力がない分、フライアウトが増えました。バットを振る力を付けないといけないです」と打撃陣に課題を上げた。そのうえで、「この経験を次に生かしてほしい」と都大会への期待も話した。
今日の試合をさらに振り返ってもらうと、「相手の先発がアウトローにピタピタ来ており、四球も出さない。なので、左打者でチャンス作って、右打者で返そう」と打線を組み替えた。その中でキーマンは主将の島崎だった。
旧チームから出場する島崎は、丸佳浩のようにヒッチを小さく入れてタイミングをはかる。そこでしっかりを間を作り、一気に振り抜く。この試合では5打数2安打1打点と結果を残して見せた。
「外のボールをどう打つか課題でしたので、2打席目で右中間へ打てたのは良かったです。ただ、そのあとの3打席は力んでしまい凡退したのは納得できないので、もっと結果を残したいです」
その島崎が大事にしているのは最短距離でバットを出すことだ。
「今までは後ろを大きくしていたのですが、それでは詰まってしまうことが多かったです。なので、肩口からバットを出すようにして最短距離で出して、コンタクトできる確率を上げています」
そこで参考にしたのが履正社・井上広大。体の大きさはもちろんだが、インコースへの反応。そして最短でバットを出して捉えていく打撃技術を参考になっているそうだ。
「個々の力を高めつつ、今回ベンチ外の選手の見ながら都大会に向かっていければと思います」と再度チームを底上げいくことを語った豊田監督。昨秋は8強に入って躍進した。岩倉が再び躍進するために、今一度チームを鍛え上げる。
(文=田中 裕毅)