履正社vs高岡商
履正社、右サイドの変則派も攻略 初のベスト8へ
井上広大(履正社) 写真:共同通信
履正社は高岡商の2回まで、高岡商の右サイド・荒井大地に苦しめられながらも、3回裏に3点。その中でも主将・野口海音が見せた三塁打は素晴らしいものだった。センター方向を意識し、体が開かず、右肩が下がりすぎず、インサイドアウトのスイングでボールをとらえ、腰がきれいに回転した打球となった。無駄がなく力強い打球を生み出す打撃フォームだった。
さらに4番・井上広大が今大会第2号を放った。井上はここまで右サイドの荒井のストレート、カーブに苦しみ、全くタイミングが合わない空振りを見せていた。
井上自身、変則派の右サイドは苦手にしていて、狙い球に絞っていたカーブも空振りをしていた。
しかし4打席目となった6回裏、そのカーブに狙い球を絞り、外角のカーブに対し肘を伸ばして拾うように捉えると、打球は左中間スタンドへ。これで高校通算48号本塁打とした。
井上は長打力が注目されるが、凡退しても打席の中での修正力が高いスラッガーだ。打ちにくい荒井に対しても試合の中でしっかりと対応してきた。これで、今大会は初戦の霞ヶ浦の鈴木寛人からは本塁打、続く津田学園では前 佑囲斗からストレートをとらえ二塁打と3試合連続で長打を放ったことになる。
さらに、第5打席でも左前安打を放ち、この試合5打点の活躍。井上は「ポイントが前になりすぎていたので、自分の体の中で振れるように、修正しました。第3打席まで左中間へ意識していましたが、第4打席以降は右中間を意識して打ったので、投手によってどの方向を意識を置くか、考えていきたいです」とコメント。
今回のホームランのように試合後半になるにつれて打撃を修正して結果を残していく井上。
準々決勝で対決する関東一は谷幸之助、土屋大和と井上が得意な右の本格派だけに、チームを勝利に導く豪打が期待される。
敗れた高岡商は1年生ショート・石黒 和弥は12打数5安打と存分に力を発揮した。スイングも鋭く、高校1年生としては上級レベルのショートだろう。「この試合のヒットは甲子園で応援する方々の声援や先輩たちの存在が打たせたものだと思います。また甲子園に戻りたいと思います」と決意を新たにしていた。
両チームの個人成績表
(記事=河嶋宗一)