敦賀気比vs國學院久我山
投打ともにタレントが揃う敦賀気比が戻ってきた!
杉田翔太郎(敦賀気比)※写真=共同通信社
つなぐ気持ちが生んだサイクルヒット。チーム一の安打製造機は誰よりも謙虚だった 杉田翔太郎(敦賀気比)
19得点を入れて敦賀気比。改めて敦賀気比は強いチームだと実感させられる試合内容だった。
敦賀気比の3番・杉田翔太郎が史上6人目のサイクル安打を達成。5安打を打ったように、バットコントロールの高さ、対応力は素晴らしい打者であった。スクエアスタンスで重心を低くして、グリップの位置を低くした独特の構えから手元でボールを呼び込んで、インサイドアウトのスイングで打ち返す。左ひじの使い方と膝の使い方がうまく、どのコースにもインサイドアウトのスイングができており、確実にボールをコンタクトできる。福井大会でもチーム最多安打を放っているのもうなづける。
敦賀気比の4番打者・木下元秀は、國學院久我山戦で4番打者らしい活躍を見せた。
まず第1打席、二死二塁の場面で打席が回った木下は外角球をレフトへ打ち返し、適時打で1点を先制。その後、打線は勢いに乗り、3点を先取。2回表にも一死二塁の場面で左前適時打を放ち、2安打2打点の活躍。1回戦の富島戦では中越え二塁打や投ゴロになったが、投手強襲の当たりを放って打点を稼ぎ、9打数5安打6打点と内容は良い。
高校2年までは左腕エースとして活躍も、ひじを痛めた影響で、打者に専念。高校通算30本塁打を超える長打力だけではなく、どのコースにも対応し、広角に打ち分ける打撃にも注目だ。
また7回から登板した145キロ右腕・黒田悠斗も144キロ右腕・笠島尚樹に負けない投球を見せている。右スリークォーターから投げ込む直球は常時130キロ後半~144キロを計測。回転数が高く、勢いのあるストレートは次々と空振りを奪え、特に走者を出してからは140キロを連発し、8回裏、一死一、三塁のピンチを招いたが、ほぼ直球で連続三振を奪った。しかし黒田自身、「今日の投球内容は良くなかったです。あまり満足したストレートを投げることはできなかったので、次の試合へ向けて修正したいです」と意気込んだ
そして9回裏に登板した松村 力もなかなかの好投手だった。180センチ80キロと恵まれた体格から最速142キロのストレートは笠島よりもボリューム感があり、120キロ後半のスライダーも低めに鋭く落ちる。こんな投手が控えているのかと驚きを隠せなかった。
2試合終えて、今年の敦賀気比は戦力が厚い。3年だけではなく、1年、2年にも逸材がいる。まだ[stadium]甲子園[/stadium]は続くが、この秋も北信越をリードするチームだと実感させられるものがあった。2016年夏から5季、[stadium]甲子園[/stadium]に出場できない苦しい期間があったが、その期間を乗り越え、投打ともにタレントが揃う敦賀気比が戻ってきた。
[page_break:両チームの個人成績表]両チームの個人成績表
(記事=河嶋 宗一)