光泉vs滋賀学園
光泉が逆転サヨナラ勝利で17年ぶりの決勝進出!
光泉が延長11回の激戦の末に滋賀学園を破り、甲子園に初出場した2002年以来17年ぶりの決勝進出を決めた。
光泉の先発はプロ注目の右腕・吉田力聖(3年)。「球自体は悪くはなかった」という吉田だが、序盤から滋賀学園打線が襲い掛かる。1回表、二死から3番・比嘉天佑(3年)が安打で出塁すると、4番・谷田竜也(3年)が内角のカットボールを上手く捌いて右翼席への2ラン本塁打を放ち、滋賀学園が2点を先制する。
さらに滋賀学園は2回表、一死三塁から9番・朝井達也の二塁ゴロの間に1点を追加。3回表にも比嘉がソロ本塁打を放ち、リードを4点に広げた。
序盤から追いかける展開となった光泉だが、滋賀学園のエース左腕・尾﨑完太(3年)を打ち崩すことができず、6回まで2安打と反撃の糸口を掴むことはできない。光泉は7回から背番号1の伊藤有哉(3年)が登板。二死二塁から谷田に安打を浴びるが、中堅手の山内陸(3年)が好返球を見せて本塁タッチアウト。これで流れが光泉に傾いた。
7回裏の光泉は相手の失策から一死三塁のチャンスを作ると、6番・小林尚史(3年)の内野安打でまずは1点を返す。その後、二死一、二塁となり、9番・伊藤の左越え2点適時二塁打で1点差。続く山内も中前適時打を放ち、一気に同点に追いついた。
その後は滋賀学園・尾﨑、光泉・伊藤がそれぞれ粘りの投球を見せて、得点圏に走者を背負いながらも得点を許さないという展開が続く。試合が大きく動いたのはグラウンド整備明けの延長11回だった。
11回表、滋賀学園は9番・朝井、1番・大濱悠史(3年)の連打で無死一、三塁とする。この場面で2番・西峯拓海(2年)が放った打球は二塁手・中西辰吉(3年)のグラブを弾く強襲安打となり、浅井が生還。ついに滋賀学園が勝ち越しに成功した。光泉はここで伊藤に代えて3番手に眞鍋裕大(2年)を投入。眞鍋は比嘉に四球を与えた後、無死満塁から谷田に中前適時打を許すが、再び山内が好返球を見せて二塁走者はタッチアウト。その後は眞鍋が踏ん張り、2点ビハインドで裏の攻撃を迎えた。
2点リードを貰った滋賀学園の尾﨑だが、10回までに160球を投げてきた疲労は隠せなかった。先頭の代打・山縣卓也(3年)に四球を与えると、続く8番・山本健太郎(3年)に左前安打を浴びて無死一、二塁となったところで降板。2番手に背番号10の右腕・竹本徹がマウンドに上がった。
ここで光泉は代打に福永翔太(2年)を送る。2球連続で犠打をファールで失敗した後、バスターに切り替えると、一塁手の横を抜ける右前安打となり、無死満塁と一打同点のチャンスを作る。しかし、続く山内は遊撃ゴロに倒れて本塁封殺。一死満塁と場面は変わり、打席には2番の中西が立つ。
11回表の守備では記録的には安打になったが、自らの守備から勝ち越し点を献上して「僕のせいで負けてしまうかもしれない」と不安に感じていた中西。守備の分を取り返そうと意気込んだ打席で右前適時打を放ち、1点差。なおも一死満塁と一打逆転サヨナラのチャンスで3番の主将・フェントン・ライアン(3年)を打席に迎える。
ここまで無安打に抑えられていたフェントンは「今まで当たっていなかったので、何とか自分のバットで還すという気持ちで打ちました」と真ん中に入った初球のカットボールを振り抜くと、打球は左翼手の前へ。当たりが強く同点止まりと思われたが、この打球を左翼手の大濱がまさかの後逸。二塁走者も生還して、光泉が劇的な逆転サヨナラ勝ちを収めた。
光泉は準々決勝の日野戦に続いての延長サヨナラ勝ち。「最後は技術じゃなくて気持ちの部分ですね」と勝因を語った古澤和樹監督。劣勢にも主将のフェントンを中心に最後まで諦めない姿勢を貫いたことがサヨナラ勝ちを呼び込んだ。
17年ぶりの甲子園出場がかかる決勝では絶対王者の近江と対戦する。古澤監督は「完全に挑戦者なので、気持ちの面で攻めていこうと思います」と決勝に向けて意気込んでいた。
(文:馬場 遼)
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