試合レポート

光泉vs滋賀学園

2019.07.25

光泉が逆転サヨナラ勝利で17年ぶりの決勝進出!

 光泉が延長11回の激戦の末に滋賀学園を破り、甲子園に初出場した2002年以来17年ぶりの決勝進出を決めた。

 光泉の先発はプロ注目の右腕・吉田力聖(3年)。「球自体は悪くはなかった」という吉田だが、序盤から滋賀学園打線が襲い掛かる。1回表、二死から3番・比嘉天佑(3年)が安打で出塁すると、4番・谷田竜也(3年)が内角のカットボールを上手く捌いて右翼席への2ラン本塁打を放ち、滋賀学園が2点を先制する。

 さらに滋賀学園は2回表、一死三塁から9番・朝井達也の二塁ゴロの間に1点を追加。3回表にも比嘉がソロ本塁打を放ち、リードを4点に広げた。

 序盤から追いかける展開となった光泉だが、滋賀学園のエース左腕・尾﨑完太(3年)を打ち崩すことができず、6回まで2安打と反撃の糸口を掴むことはできない。光泉は7回から背番号1の伊藤有哉(3年)が登板。二死二塁から谷田に安打を浴びるが、中堅手の山内陸(3年)が好返球を見せて本塁タッチアウト。これで流れが光泉に傾いた。

 7回裏の光泉は相手の失策から一死三塁のチャンスを作ると、6番・小林尚史(3年)の内野安打でまずは1点を返す。その後、二死一、二塁となり、9番・伊藤の左越え2点適時二塁打で1点差。続く山内も中前適時打を放ち、一気に同点に追いついた。

 その後は滋賀学園・尾﨑、光泉・伊藤がそれぞれ粘りの投球を見せて、得点圏に走者を背負いながらも得点を許さないという展開が続く。試合が大きく動いたのはグラウンド整備明けの延長11回だった。

 11回表、滋賀学園は9番・朝井、1番・大濱悠史(3年)の連打で無死一、三塁とする。この場面で2番・西峯拓海(2年)が放った打球は二塁手・中西辰吉(3年)のグラブを弾く強襲安打となり、浅井が生還。ついに滋賀学園が勝ち越しに成功した。光泉はここで伊藤に代えて3番手に眞鍋裕大(2年)を投入。眞鍋は比嘉に四球を与えた後、無死満塁から谷田に中前適時打を許すが、再び山内が好返球を見せて二塁走者はタッチアウト。その後は眞鍋が踏ん張り、2点ビハインドで裏の攻撃を迎えた。

 2点リードを貰った滋賀学園の尾﨑だが、10回までに160球を投げてきた疲労は隠せなかった。先頭の代打・山縣卓也(3年)に四球を与えると、続く8番・山本健太郎(3年)に左前安打を浴びて無死一、二塁となったところで降板。2番手に背番号10の右腕・竹本徹がマウンドに上がった。

 ここで光泉は代打に福永翔太(2年)を送る。2球連続で犠打をファールで失敗した後、バスターに切り替えると、一塁手の横を抜ける右前安打となり、無死満塁と一打同点のチャンスを作る。しかし、続く山内は遊撃ゴロに倒れて本塁封殺。一死満塁と場面は変わり、打席には2番の中西が立つ。

 11回表の守備では記録的には安打になったが、自らの守備から勝ち越し点を献上して「僕のせいで負けてしまうかもしれない」と不安に感じていた中西。守備の分を取り返そうと意気込んだ打席で右前適時打を放ち、1点差。なおも一死満塁と一打逆転サヨナラのチャンスで3番の主将・フェントン・ライアン(3年)を打席に迎える。

 ここまで無安打に抑えられていたフェントンは「今まで当たっていなかったので、何とか自分のバットで還すという気持ちで打ちました」と真ん中に入った初球のカットボールを振り抜くと、打球は左翼手の前へ。当たりが強く同点止まりと思われたが、この打球を左翼手の大濱がまさかの後逸。二塁走者も生還して、光泉が劇的な逆転サヨナラ勝ちを収めた。

 光泉は準々決勝の日野戦に続いての延長サヨナラ勝ち。「最後は技術じゃなくて気持ちの部分ですね」と勝因を語った古澤和樹監督。劣勢にも主将のフェントンを中心に最後まで諦めない姿勢を貫いたことがサヨナラ勝ちを呼び込んだ。

 17年ぶりの甲子園出場がかかる決勝では絶対王者の近江と対戦する。古澤監督は「完全に挑戦者なので、気持ちの面で攻めていこうと思います」と決勝に向けて意気込んでいた。

(文:馬場 遼

光泉vs滋賀学園 | 高校野球ドットコム関連記事はこちらから
第101回 全国高等学校野球選手権 滋賀大会
近江を止めるのはどこだ?滋賀学園、光泉ら力校が追随する!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!