高崎商大附vs健大高崎
5年連続決勝進出の健大高崎が、高崎商大附の前に初戦敗退
5年連続で群馬大会決勝進出を果たしている高崎健康福祉大高崎(健大高崎)。3年連続で決勝を戦い、この春も県大会決勝を争った前橋育英とともに、群馬では圧倒的な2強という存在となっている。県内各校は、その2強の壁をどう破るのか、そのことにエネルギーを注いでいる。そして、それこそが大会へ挑む各校の最大の挑戦でもあるのだ。
高崎商大附もそんな一つだ。「2強を食うには初戦しかないと思っていたので、クジとしては健大高崎の山を狙っていました。その通りに引いてきたので、ビックリしました」と言う高崎商大附の渡辺賢監督。群馬大会は今年は62チームなので、第1第2シードの前橋育英と健大高崎だけが、2回戦が初戦というクジになっている。そして、高崎商大附が初戦で前橋を下して挑んでいくという形になった。
初回、ともに先頭打者が出るが、二塁打が出た健大高崎は、一死三塁という形を作りながらも無得点。これに対して高崎商大附は四球、バント、内野ゴロで二死三塁として4番宮一君の中前打で先制。この初回の攻防が、そのままこの試合の流れを支配していったかのような試合になった。
2回、健大高崎は一死三塁から内野ゴロ野選で追いつく。健大高崎らしさを見せたが、その後も9番吉井君が二塁打を放って2者を帰して逆転。それでも、高崎商大附も3回、早くもリリーフとしてマウンドに立って9番に入っていた遠藤君の左前打以下、バント安打も含めて4連打で同点。さらに一死一三塁から内野ゴロで逆転。健大高崎のお株を奪うかのような攻撃だった。なおも、6番柿田君も中前打してこの回4点で5対3。
それでも、健大高崎は4回に3番伊藤雄紀君の3ランで再逆転。5回にも二死走者なしから柳澤君が中前打すると暴投で一気に三塁へ進み、辻君の左越二塁打で突き放す。このあたりは「さすが」と思わせるものだった。
しかし、高崎商大附も食い下がる。その裏、中前打の小林幸之助君が暴投と捕逸で三塁へ進むと、宮一君の中前適時打で1点差。
そして6回、高崎商大附は柿田君が左前打すると、小林竜也君の三塁線バントは野選を誘って無死一二塁。続く浅倉君が中越二塁打して2者が帰って再々逆転。なおも、三塁盗塁が悪送球を誘い浅倉君は一気にホームインで9対7。機動力で相手をかく乱していく戦いぶりは、健大高崎の持ち味でもあるのだが、それを高崎商大附がやってのけた。結局、このまま高崎商大附は3回からロングリリーフとなった遠藤君が踏ん張って、健大高崎の強力打線と機動力を何とか封じた。
高崎商大附の渡辺監督は、「勝てるとしたらロースコアの試合しかないと思っていたのですが、選手たちがことごとく期待に応えてくれました。格上のチームに勝つには技術ではかなわないので“粘り”と“執念”です。(2回戦進出を決めて)この1週間、テーマは“執念”でした」と、まさに執念の勝利を喜んだ。
まさかの初戦敗退で健大高崎の青栁博文監督は、さすがに肩を落としていた。「ゲームプランが甘かったかなぁ。取れるところで取り切れず、やらなくてもいい点を与えていました。流れを最後まで持ってくることが出来ませんでした」。この春、健大高崎は長年チームを見てきたスタッフが替わるなどの変化もあった。この日の初戦負けで、巷間いろんな批判の声なども入ってくるかもしれない。しかし、わずか20年足らずの間に無に近い状態からここまで常勝軍団に作り上げてきた基礎工事は確かなはずだ。また、次のチームへ、思いを繋いでいって欲しいと願っている。
(文=手束仁)