桐光学園vs藤代
桐光学園が苦しんで8強!藤代の中山は熱闘報われず
好投を見せた藤代の先発・中山航
1回戦で、東農大三の145キロ右腕・飯島一徹を打ち崩した桐光学園だが、この試合では藤代の先発・中山航に終始押されっぱなしであった。
最速144キロ右腕・中山航は関東大会でも前評判通りの好投を見せた。
沈み込みが少ない腰高なフォームであるが、下半身の使い方が非常に上手く、伸びのあるボールをどんどん投げ込んでいく。制球も決して良い方ではないが、適度にボールが荒れるがために桐光学園打線は的を絞ることが出来ずに、スコアボードには「0」が並んでいく。
顔つきや出で立ちを見ても非常に肝が据わっており、「都会にはいないタイプ」の無骨な好投手に桐光学園は戸惑ったのではないだろうか。
そしてその中山をリードする藤井皓大も、状況判断能力に優れた好捕手だった。こまめにタイムを取ってマウンドに駆け寄ったり、ベンチの監督とも綿密にコミュニケーションを取る姿は、まさしくグランドの上での指揮官と言える存在で、無心に球をどんどん投げ込む中山とも、息がぴったりと合っているように見えた。
試合は、2対1と藤代リードで迎えた9回裏、桐光学園は二死から一、二塁のチャンスを作ると、相手のミスから土壇場で同点に追いつく。
勝負の行方は延長戦にもつれ込んだが、決着は延長11回に訪れた。桐光学園は、この回からマウンドに上がった一條遥翔を攻めて、無死一、二塁のチャンスを作ると、ここで再び投手交代となり背番号11の石川健人がマウンドに上がる。
サヨナラ勝ちを収めた桐光学園
だが、石川も制球が定まらずに一死満塁となると、最後は途中出場の7番・直井宏路がサヨナラタイムリーを放ってゲームセット。
試合は4対3で桐光学園が勝利し、準々決勝進出を決めた。
結局、中山は11回を投げて9安打3失点、自責点2の結果だった。後半はピンチの場面も多々あったが、強打の桐光学園打線を相手に我慢強く、よく投げたと褒めるべきだろう。
熱闘は報われずにゲームには負けたが、勝負には勝ったとも言える投球だった。
今はまだドラフト候補と呼べるまでの実力はないが、藤代の大先輩である東北楽天ゴールデンイーグルスの美馬学投手に、背格好もどことなく似ているように感じる。
中山もいずれ美馬投手のように、アマチュアトップクラスの投手、そしてプロからも注目を浴びる投手として活躍できる可能性を持った選手だ。
そのためにもまずは、悔いのない夏を過ごすために今日の敗戦を今後に活かして欲しい。
(文・=栗崎 祐太朗)