試合レポート

光泉vs近江兄弟社

2019.05.02

光泉が序盤の猛攻で近江兄弟社を振り切る

光泉vs近江兄弟社 | 高校野球ドットコム
最後の打者を打ち取り喜ぶ伊藤有哉(光泉)

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 プロ注目の右腕・吉田力聖(3年)を擁する光泉と秋準優勝の近江兄弟社による注目の一戦は序盤に得点を重ねた光泉が勝利を収めた。

 光泉先発の吉田はこれが今大会初登板。初回は3番の森大和(3年)から高めのストレートで三振を奪うなど三者凡退で打ち取り、上々の立ち上がりを見せる。

 吉田の好投で流れを作った光泉は1回裏に近江兄弟社の先発・横井覚(3年)の立ち上がりを攻めて一死一、二塁とすると、4番松田陸(2年)がインコースの変化球を上手く捌いて先制の3ランを放つ。

 さらに光泉は2回にも相手の失策や押し出しで2点を奪うと、二死満塁から5番・石井風樹(3年)の適時内野安打で点差を6点に広げた。3回にも9番・吉田の犠飛で追加点を挙げ、3回を終えて7対0と予想外のワンサイドゲームとなる。

 吉田は3月に発症した右ヒジの炎症で本調子でなかったが、若いカウントで変化球を打たせるなど省エネの投球で3回まで1安打に抑える好投を見せる。当初はヒジの状態を考慮して3回までの予定だったが、球数が27球と少なかったこともあり、古澤和樹監督は続投を決断。しかし、4回は「違和感を感じ始めて、力も入りにくくなっていた」と本来の投球からは程遠いものとなった。

 安打と2四球で無死満塁のピンチを招くと、5番・大橋青宙(2年)に2点左前適時打を浴びてまず2点を返される。その後、何とか二死までこぎつくが、満塁から9番・杼木悠人(3年)にも2点左前適時打を許した。結局、吉田はこの回限りで降板。5回からは最速141㎞右腕の伊藤有哉(3年)がマウンドに上がった。

 伊藤は力のあるストレートと多彩な変化球を織り交ぜて、走者を出しながらも近江兄弟社の反撃を許さない。近江兄弟社も6回から登板した4番手の喜多良介(2年)が3回無失点の好投を見せるが、打線が伊藤を攻略できず、最後まで得点を奪うことができなかった。序盤のリードを守り切った光泉が8対4で勝利し、ベスト8進出。夏のシード権獲得まであと1勝となった。

 「3回までは上手くいったんですけど、4回は崩れてしまったのは課題です。今の自分ができることは短いイニングで流れを作ることなので、次の試合では崩れずに流れを作っていきたいです。体はしっかり使えていれば、軽く投げても抑えられるとわかりました」とこの日の投球を振り返った吉田。今大会では本来の状態で臨むことができなかったが、万全でない中で抑える術を覚えることができたのは夏に向けて意味のあることだろう。

 チームとしても打力が向上し、吉田に次ぐ投手である伊藤や1回戦の膳所戦で好投した眞鍋裕大(2年)の成長が見られるなど収穫の多い大会になっている。「秋は吉田だけのチームでしたが、そうじゃなくなったのは大きいですね」と古澤監督もチーム力の向上を評価。勝ちながら成長を重ねているチームの今後の戦いぶりに注目したい。

 近江兄弟社はエースの菊地凜(3年)が登板せず、序盤から苦戦を強いられた。それでも4投手が登板して経験値を積めたのは夏に繋がる試合だったのではないだろうか。菊地に次ぐ投手を育成して万全の態勢で夏に挑みたい。

(文=馬場 遼)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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