神村学園vs古仁屋
通用した手応え・古仁屋
整列する古仁屋ナイン
神村学園は初回、3番・松尾駿助(3年)の犠牲フライで先制。2回は3四球、5安打、5盗塁とそつなく畳みかけ、7得点を挙げて主導権を握った。
4回裏は代打・山口想渉(2年)のレフトオーバー三塁打などで更に6点をダメ押した。投げては4投手の継投で2回以降、古仁屋打線を完璧に封じ、第1シードの底力を見せつけた。
相手が第1シード、優勝候補一番手の神村学園とはいえ、14失点、5回コールドの敗戦を「良かったとは言いたくない」(古仁屋・鳥丸大輔監督)。ただ「自分のボールが思ったよりも通用して、失点が思ったよりも少なった」(板倉諒翔主将・3年)手応えがあったことも確かだった。
9人しかいない選手のうち5人は野球部以外。部員よりも多い助っ人がいるチーム事情だが「バッテリーがしっかりしている」ことに鳥丸監督は活路を見出していた。板倉―森田淳之介(3年)のバッテリーは経験があり、神村学園相手でも「ある程度やれる」と予想はしていた。
当然エラーが出ることも、制球が甘くなれば痛打されることも覚悟していて、実際その通りだった。それでも三振を3つ奪っており、1イニングだけだが0で抑えた回もあった。「内角の直球、チェンジアップ、高めの変化球でしっかり抑えられた」ことは板倉の自信になった。
助っ人3人で守る外野に6つのフライが飛んだが、ミスなく捕球できた。「しこたまフライをノックしてきた」(鳥丸監督)成果が出た。ライト国吉龍聖(3年)は1年生でバスケット部を辞めて以降部活はしていなかった。鳥丸監督の誘いに「自分が加わって野球部が試合に出られるなら」と昨年12月から練習に参加するようになった。野球経験は全くなく試合の最初は「緊張して怖かった」が徐々に慣れた。3回、唯一無失点で抑えられた回の締めくくりの飛球をきちんと捕球した。ベンチに戻って監督やナインに褒められて「嬉しかった」。
味方に足を引っ張られると気持ちが切れるのが課題だった板倉主将だったが「助っ人のおかげで試合に出られた。自分が引っ張るつもりで声を掛け、みんなも声を返してくれたことで最後まで投げられた」と感謝する。バッテリーが通用する手応えを得た鳥丸監督は「これを支える守備を作り、部員をちゃんと集めるのは自分の責任」とやる気を掻き立てていた。
(文=政 純一郎)