試合レポート

桐朋vs都立目黒

2019.03.21

エース・百合泰祐の圧巻の三振劇で桐朋が都大会へ!

桐朋vs都立目黒 | 高校野球ドットコム
桐朋エース・百合泰祐

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 秋は駒大高に敗れ、今春は予選から都大会出場を目指す桐朋。一方、昨秋は打ち合いの末に都立青山に破れた都立目黒

 秋の悔しさを胸に戦う両校の一戦は3回、桐朋8番・須田拓嵩が左中間への二塁打でチャンスを演出すると、二死から2番・片倉悠希が追い込まれながらレフトへタイムリーヒット。桐朋が先制点を奪うことに成功する。

 4回には5番・原陸人と6番・羽毛田宗一郎の連打から8番・須田のタイムリーで3対0とした桐朋

 リードをもらった桐朋先発の背番号11・原は、3回まで都立目黒打線をヒット1本に抑える投球を見せる。しかし4回、先頭の4番・髙下洵に右中間を破られる二塁打でピンチを招くと、5番・堀越太一にはライト前に運ばれ無死一、三塁。続く6番・中上大輔に四球を与えたところで桐朋ベンチが動く。2番手にエース・百合泰祐をマウンドに送る。

 その百合は都立目黒の7番・藤原拓紀をショート・中島綾太の好プレーもあり併殺打。そして続く8番・高田望を見逃し三振に斬ってとり、1点を失うものの最少失点で凌ぐ。

 最少失点で切り抜けた桐朋は直後の5回、先頭の2番・片倉が右中間へホームランを放ちチームに勢いを与える。すると、二死から5番・原と6番・百合の連続二塁打でさらに1点を追加。5対0と桐朋リードで前半を折り返す。

 都立目黒としては、まずはランナーを溜めて1点ずつ返していきたいが、マウンドの桐朋・百合は出塁すら許さない。



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都立目黒エース・伊藤匠郎

 身長177cm、体重76kgの体格を巧みに操り、スムーズかつ滑らかな投球フォーム。そして鋭く縦に振り下ろされる右腕からは最速140キロを超える鋭く強いストレート。そしてカーブと縦のを中心にピッチングを展開し、三振の山を築いて付け入る隙を与えない。

 打線は中盤以降、都立目黒の右サイドハンドのエース・伊藤匠郎の前に打ちあぐねるも、9回に代打の加藤翼と5番・原のタイムリーでダメ押しの2点を奪って勝負あり。最後も百合は三者凡退で都立目黒を抑えて、7対1で桐朋が勝利した。

 今日のゲームは何といっても桐朋のエース・百合のピッチングだろう。5回3分の2を投げて被安打1、与四死球2、奪三振12と圧巻の内容だった。

 試合後に話を伺うと、「6回にストレートを左中間にはじき返されましたが、都立目黒打線は速いストレートにも対応できていて、甘く入ると低い打球で間を抜かれる印象をもっていました。なので、変化球中心のピッチングをするつもりでブルペンで準備していました。」と相手打線のイメージを語る。

 その上で、「変化球、特に縦のスライダーの変化がバラバラでした。一定のフォームで投げ込むことができなったこと。そしてリリースの時に手首の角度が一定でなかったことで、コントロールにバラツキがあったと思います。」と冷静に自身のフォームを分析した。

 それでも17個のアウトのうち、12個を三振にまとめる百合の投球はかなりのモノである。その証拠に本人曰く、ストレートの回転数は2400ほどあるそうで、質の高いストレートを投げ込むセンスを持ち合わせている。都大会でもその能力を存分に発揮した投球に注目が集まる。

 そんな注目の百合は、「チームには力があるはずなので、自分たちのパフォーマンスができるようにしたいです。」と都大会へ意気込みを語った。

 そして田中隆文監督は、「(百合は)本来はもっとまとまりある投手なのですが、今日はボールが多かったので、このままだと夏は投げ切れないですね。」と評価した。たしかに5回3分の2を投げて97球は少し多く、百合が夏に活躍するためのポイントとなってくるだろう。

 桐朋はこれで都大会の初戦は都立府中西と対戦することとなった。田中監督に意気込みを伺うと、「本大会を目指してきましたが、ここからは1つでも多く公式戦ができるようにしたいですね。」

 この冬は1.5キロのご飯を食べるなどしてフィジカルを強化してきた桐朋。秋とは一味違う姿を都大会の舞台で見せてほしい。

(取材=編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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