八戸学院光星vs東邦
八戸学院光星、効いた初回の先制攻撃の5点。9回にもダメ押しで東邦を振り切る
渾身のガッツポーズをする後藤丈海(八戸学院光星)
秋季地区大会の優勝校が集結している明治神宮大会。来春のセンバツ大会を占う上では、各地区のレベルもある程度はわかるし、非常に参考になる大会とも言える。東海地区の東邦と、東北地区の八戸学院光星の対戦は、非常に因縁のある対戦だ。というのも、2年前の夏の甲子園での2回戦で対決した両校。一時は最大7点差まで開き、9対5と八学光星がリードして迎えた9回、スタンドも巻き込んだ大応援となって東邦が5点を奪っての逆転サヨナラ勝ちとなった。この大逆転は、なぜかスタンド全体がタオルを回して東邦を応援するという空気になってしまっての逆転劇だった。そして、この逆転が、やがてタオル回しブームを呼んだことで、タオル回しそのものが禁止されるという要因にもなった。そんな因縁の試合の再現である。
八学光星としては、甲子園の敵を神宮で…、といきたいところでもある。
そんな八学光星の思いが初回に爆発した。「じゃんけんに負けて、先攻となったけれども、開幕戦で国歌斉唱や始球式、しかも朝8時半開始という早い時間に小雨が降っているという状況で、試合に入りにくい状況で、ベンチでは先攻でよかったというようなことを言っていた」という仲井宗基監督だったが、東邦の先発石川君が、まさに試合に入り切れないところを巧みにとらえた。
先頭の伊藤大将君が中前打で出ると、バントは失敗するものの武岡君が左前打でつなぐ。二死となってから5番太山君が四球で満塁。ここで下山君に左前打が出て2者が帰る。さらに大江君が左中間二塁打して、原君も中前打でこの回いきなり打者一巡で5点が入った。
いきなりの5失点となった東邦だが、5点までならばこの秋の東海大会も1イニングで追いついたという実績もある。その東邦、まずは杉浦君のバント安打と石川君の安打で一死二三塁として、二死後長屋君の左前打でまず1点を返す。そのまま試合はやや膠着したが、5回には下位の河合君と植田君が連打してチャンスメイクして一死二三塁から杉浦君の中犠飛で1点。そして、7回には一死後松井君と杉浦君の連打に相手失策などで満塁として4番熊田君の右前打で2点差としてなおも、一死満塁。東邦としてはイケイケの状況となっていたが、結局1点止まり。5回もそうだったが、追い上げの得点を挙げてなおもチャンスを迎えていたところであと一本が出なかった。このあたりは、八学光星の後藤君がよく粘って踏ん張っていたとも言えよう。
そして、初回以降得点がなかった八学光星だったが9回、武岡君のバックスクリーンへ放り込むソロで追加点。さらに、死球と太山君の左前打で石川君をマウンドから降ろすと、奥田君の代わり端を下山君が捉えて右前打でこれが7点目のタイムリー。4点差となった。
シチュエーションとしては2年前の夏と同じ9回で4点差となった東邦だったが、ここは八学光星の後藤君が臆することなくスイスイと投げ切って三人で抑えてそのままゲームセット。逆転の東邦はその底力を見せきれなかった。森田泰弘監督は「これが、力の差ということですから、仕方がないです」とサバサバ。「(石川投手は)ある程度は打たれるかなということは覚悟していましたが、捕手に聞いてもそうだったんですが、全体的にコースが甘かったですね。投手としては、まだ投げるだけですから、まだまだ学んでいかないといけないところがいっぱいある」と、この冬の成長に期待をしている様子だった。
八学光星の仲井監督は、「石川君のエンジンがかかる前に上手く捉えて流れに乗れて一気に叩けたのは大きかった。2回以降はさすがに抑えられましたが、9回に追加出来たのは大きかった」と、展開としては非常に良かったという印象だったようだ。
(文=手束 仁)