金足農vs横浜
高橋の3ランで金足農が逆転勝利! エース・吉田は横浜から14三振を奪う粘投で勝利を呼び込む!
第100回全国高校野球選手権大会の13日目。第2試合は18イニングで27奪三振の剛腕・吉田 輝星(3年)を擁する金足農(秋田)と、主将の齊藤 大輝(3年)を中心に2戦連続2桁安打で勝ち上がってきた横浜(南神奈川)が対戦した。
金足農の吉田は立ち上がりにいきなり捕まってしまう。横浜の先頭・山崎 拳登(3年)にライトへの飛球を打たれると右翼手が目測を誤ったか、この打球が頭上を越える三塁打となり、続く河原木 皇太(3年)の一塁ゴロの間に生還を許してしまう。さらに齊藤 大輝(3年)にはライトへ、万波 中正(3年)にはレフトへ連打を浴び、内海 貴斗(2年)には四球で満塁。そして、7番・長南 有航(3年)への初球が暴投になって、この回2点を奪われた。
金足農は3回裏。横浜の先発・板川 佳矢(3年)に対し、二死から佐々木 大夢(3年)がライトへ飛球を放つと、今度は横浜の右翼手が目測を誤ってしまい三塁打。続く3番の吉田は3ボール1ストライクからの5球目、132キロのストレートを強振すると打球はバックスクリーン左へ。これが2ランホームランとなり、一気に同点に追いついた。
ホームランを放った直後から吉田はストレートの球威が増していく。4回表は遠藤 圭吾(3年)からスプリットで空振り三振。5回表は4番・万波を142キロの外角の真っすぐで空振り三振。5番・内海もアウトコースのツーシームで空振り三振と2イニングで3三振を奪った。しかし、球数が100球に差し掛かったあたりからペースダウン。6回表は四球と犠打などで二死一二塁の場面から9番・遠藤にはインハイの真っすぐを詰まりながらもライト前へ運ばれて勝ち越し。7回表には万波、内海の連打で一三塁とされると角田 康生(3年)に低めの真っすぐをレフトへ弾き返され4点目を奪われてしまった。
しかし、試合はここから劇的な展開を見せる。8回裏、金足農はここまで低めに変化球を集めて好投していた板川から吉田と4番・打川 和輝(3年)が連打を放って出塁。そして一死後、6番の高橋 佑輔(3年)が初球の真ん中に入ってきたスライダーを振り抜くと、打球はバックスクリーンへ消える逆転の3ランホームラン。直前にバント失敗があったが嫌なムードをかき消す豪快な一発で試合をひっくり返した。
すると、9回表は吉田が再び息を吹き返す。万波をアウトコースのスライダーで空振り三振。内海はインコースのスプリットで空振り三振。そして、角田にはこの試合の161球目でなんと150キロを記録し、最後は146キロの高めのストレートを振らせて3者連続三振。まさかの逆転劇で金足農が5対4で横浜を下し、95年以来、13年ぶりとなるベスト8進出を決めた。
金足農の吉田は序盤からストレートが走らず苦しいピッチング。そのなかでスプリットやツーシームなど、これまでより変化球の割合を増やして打者の目先を変え、なんとかピンチを凌いでいった。最後は味方の逆転に力を得て自身最速タイの150キロをマークするなど14奪三振。164球の熱投が報われた形となったが、やはり吉田の粘りが勝利を呼び込んだと言えよう。
横浜は好投していた板川が2本のホームランを浴びて涙を飲んだ。打線は好投手・吉田から12安打を放ったものの11残塁。得点を奪った後のチャンスでもうひと押しできなかったことが逆転を許す遠因となった。
終盤の逆転で強豪を下した金足農。準々決勝は大会14日目の第4試合で近江(滋賀)と対戦することが決まっている。
(記事=大平 明)