愛工大名電vs白山
愛工大名電が完封リレーで圧勝!白山の夢物語はひとまずここで終演!
第100回全国高校野球選手権大会の7日目。第4試合は2年前まで夏の三重大会で10年連続初戦敗退だったが日本一の下剋上を果たし、春夏通じて甲子園初出場を決めた三重白山(三重)と、かつてのバント戦術から超攻撃的な野球へと方針を転じ、5年ぶり12回目の出場となった愛工大名電(西愛知)が対戦した。
三重大会ではリードオフマン・栗山 翔伍(3年)が打率.458、6盗塁と活躍し、3回戦から準決勝の3試合はすべて1点差のゲームを勝ち上がった三重白山と、西愛知大会ではチーム打率.373、9本塁打を記録し、準々決勝、準決勝と2戦連続で延長戦を制してきた愛工大名電の一戦。
左腕の室田 祥吾(3年)を先発に送った愛工大名電に対し、三重白山は1回表。2番・市川 京太郎(3年)がライト前へ記念すべきチーム初安打で出塁。二死後、4番・辻 宏樹(3年)も左中間へ大きな飛球を放つが、ここはレフト・稲生 賢二(2年)がジャンプして打球を掴むナイスキャッチ。得点を許さなかった。
一方、三重白山の先発マウンドには背番号5の岩田剛知(3年)が立ったが明らかに動きが固い三重白山ナイン。先頭の柳本 優飛(3年)のセカンド左へのゴロが内野安打になると、2番・西脇 大晴(3年)はヒッティングの構え。ここで様子を見るために投げた一塁への牽制球が後ろへ逸れ、走者は一気に三塁へ。そして、西脇は甘く入ったスライダーをセンターへ弾き返して、愛工大名電があっさりと先制点を挙げる。さらに、4番・牛島 凛人(2年)との間でエンドランを決め一三塁とすると、永井 翔(3年)のタイムリーなどで追加点。なおも盗塁や打撃妨害などで白山はピンチが続いたが、なんとか岩田が安井 太規(3年)から三振を奪い3失点でとどめた。
2回以降は落ち着きを取り戻した岩田に抑えられていた愛工大名電。だが5回裏に先頭の柳本がピッチャーのグラブを弾く内野安打で出塁すると、ここも西脇は強打。センター前ヒットでチャンスを拡大し、続く稲生も中前へタイムリーを放って4点目。さらに、後藤 晃成(3年)もセンター前に2点適時打。堀内 祐我(2年)にもタイムリーが出て、この回4点を加えた。
5回から登板した愛工大名電の2番手・秋山 凌祐(3年)に対し、ノーヒットに抑えられていた三重白山は8回表。代打・河村 岳留(2年)が外寄りの真っすぐを弾き返してセンター前ヒット。続く石田 健二郎(3年)も中前打で続いて一死一二塁のチャンスを作る。なんとか1点を奪い取りたい三重白山だったが、9番・岩田は初球のストレートを打ち上げてレフトフライ。期待の栗山もスライダーに体勢を崩され、やはりレフトフライに打ち取られて得点はならず。逆に8回裏、愛工大名電は安井、西脇がホームランを放つなど10対0で三重白山を下し、夏の甲子園では実に30年ぶりとなる勝利を挙げた。
愛工大名電は、低めに真っすぐとスライダーを集めて立ち直っていた岩田に対し、ボールを手元まで引き付けてスイングする徹底したセンター返しで攻略。4本の中前打を含む5安打で4点を挙げたのが大きかった。また、積極的に機動力を使う嵩に懸かった攻撃も迫力十分だったと言えよう。投手陣では2番手で登板した右腕・秋山が140キロを超えるストレートとキレの良いスライダーで好投。最後まで三重白山に得点を許さず完封リレーを完成させた。
三重白山は初回の守りこそミスを多発したが、2回以降はリズムを取り戻しドラッグバントやディレードスチールなど攻撃面では溌剌としたプレーでアルプスを沸かせた。早めに1点でも返していれば、違った展開もあっただけに、3回表、4回表と2イニング連続で併殺を喫し、盗塁も2度失敗と波に乗れなかったのが響いた。
同じ東海地区に属する隣県対決を制して勝ち上がった愛工大名電。3回戦は大会12日目の第1試合でベスト8一番乗りを懸け、報徳学園(東兵庫)と対戦する。
(記事=文:大平 明)