高知商vs山梨学院
30安打乱れ飛ぶ戦いを高知商が制す
高校野球にセーフティリードは無い。
そんなことを思わせる大会2日目の第1試合だった。
山梨学院は初回、2番・菅野が安打で出塁し盗塁を決めると4番・中尾の適時内野安打で1点を先制。先発左腕・垣越は立ち上がりに三塁打を浴びたが、力のあるストレートを決め球に2奪三振、高い奪三振能力を見せつけた。
1点を追う高知商は2回、二死から安打で出塁した藤田を一塁に置いて先発の北代がレフトフェンス直撃の適時三塁打を放ち試合を振り出しに戻す。すぐに同点に追いつくと3回、二死二塁から4番・藤高がライトスタンドに大会第1号を豪快に叩き込む。2点を勝ち越すと4回には1番・前田の適時打と3番・乗松の3点本塁打で4点を追加、リードを6点に広げた。
大量ビハインドを背負った山梨学院だが5回に藤本、菅野の適時打などで反撃し、さらに一死満塁から中尾がセンターへ本塁打を放つ。開幕日だった前日は3試合で本塁打は0本だったが、この試合は3イニングで3本塁打。8得点のビッグイニングを作り一気に試合をひっくり返した。
山梨学院は6回にも清水の適時打で1点を加えるがその裏にピンチを招く。一死一、二塁から西村に適時二塁打を浴びたところで、垣越に代わって力強いストレートを投げ込む右サイドハンドの鈴木がマウンドへ。乗松に適時打を許し打席に左打ちの藤高を迎えると、ファーストを守っていた相澤へとスイッチ。相澤は巧みな牽制で一走・乗松を誘い出すがタッチをかいくぐられ、二塁への進類を許す。二、三塁となり併殺がなくなったことで山梨学院内野陣は前進し、ヒットゾーンが広がると藤高の打球は一、二塁間を破る2点適時打。11-10と高知商が逆転に成功した。
シーソーゲームは7回にも動く。山梨学院はここまで唯一安打のなかった5番・野村の本塁打と相澤にマウンドを譲った後、ファーストの守備に就いていた鈴木の適時打で2点を奪う。山梨学院がリードしたがその裏、高知商は浜田の適時打で同点とし、一死満塁から西村がレフト前に2点適時打を放ち勝ち越しに成功。山梨学院は2安打2四球と全打席出塁していた西村を警戒し、直前で再び鈴木をマウンドに上げたが1年生の勢いが勝った。
共に2桁安打で2桁得点。大味の試合となったが、高知商はエース・北代が150球で完投。両チーム合わせて30安打が乱れ飛び、延べ26人がホームを踏む展開の中、最後までマウンドに立ち、8、9回は三者凡退に抑え激戦を締めくくった。
(記事=小中翔太)