丸亀城西vs高松
丸亀城西、主将の起死回生2ランで13年ぶりに聖地到達!
[stadium]レクザムスタジアム[/stadium]の他に、第二球場、相撲場、サッカー場、テニス場などが広大な敷地に点在する香川県立総合運動公園。決勝戦前、その敷地内は車という車で埋め尽くされ、公園への道も渋滞が発生した。
2年前、センバツ準優勝の高松商が尽誠学園との決勝戦を戦った以来となるフィーバーぶり。今回の主役はネット裏から一塁側応援席までをびっしりと埋めた高松応援団である。64年ぶりの決勝戦、そして84年ぶりの夏甲子園到達へ旺盛な彼ら。その意気は、2回表一死二・三塁から7番・土田 悠介(3年・左翼手・174センチ74キロ・右投右打・高松市立紫雲中出身)の遊ゴロと、8番・石田 公平(3年・捕手・167センチ62キロ・右投左打・香川大学教育学部附属坂出中出身)の中前打で2点を先制したことにより、さらに加速度を増す。
3回裏、丸亀城西は二死一塁から3番・藤田 翔希(2年・165センチ83キロ・左投左打・三豊市立三野津中出身)の右中間適時二塁打と4番・塩田 小次郎(3年・一塁手・177センチ81キロ・丸亀市立東中出身)の遊撃適時打で同点とするも、高松が下を向くことはなかった。
高松は4回裏無死から5番・兵頭 真大(3年・右翼手・184センチ80キロ・右投右打・高松市立桜町中出身)の左越二塁打で再び勝ち越すと、6回表には再び兵頭が失策で出塁すると、ダブルエラーの間にホームインを遂げ2対4。高松84年ぶりの夢は、徐々に確信に変わろうとしていた。
が、丸亀城西にも昨年逆転で三本松に敗れたリベンジと屈辱から這い上がってきた矜持があった。5月21日の「第60回丸亀高校・丸亀城西高校野球定期戦」では丸亀に2対9で完敗。試合後には河本 浩二監督から「お前らは弱い」と厳しい指摘を受け、メンバーのみの全体ミーティングも長時間に渡るなどチームを真に変えるべく向き合ってきた彼らは、6回裏一死一塁から想いをバットに注入した。
右打席に入ったのは丸亀城西を束ねる主将・福田 直人(3年・捕手・171センチ69キロ・右投右打・宇多津町立宇多津中出身)。この試合では7番ながら昨秋は4番も張った勝負強さが光る男は、ここまで120キロ台前半のストレートと110キロ台のスライダー・シンカーを使って粘りの投球を展開してきた高松先発・青野 光起(3年・176センチ67キロ・右投右打・高松市立屋島中出身)が投じた初球の甘いシンカーをフルスイング。高く舞い上がった打球はレフト線上を真っすぐに進み96m先のレフトボールを直撃する。
まさに起死回生の同点2ランによって、試合の様相は一変。その後、二死二塁から1番・水野 達稀(3年・遊撃手・169センチ69キロ・右投左打・丸亀市立南中出身)の左中間突破三塁打で逆転すると、勝負の女神は完全に丸亀城西へ微笑みを向ける。
その後も丸亀城西は7回裏一死三塁からスーパーサブの5番・奴賀 立樹(3年・172センチ63キロ・右投右打・高松市立香東中出身)が右翼手としてのファインプレーを打につなげる三塁適時内野安打。8回裏は水野の右翼線二塁打などで作った一死二・三塁から失策、藤田の2点適時打で計9点。
そして迎えた14時46分。4回途中から都合6イニングを投げた大前 輝明(3年・179センチ91キロ・右投右打・丸亀市立西中出身)が突き上げた両腕を目標にマウンド上では歓喜の輪が広がる。丸亀城西13年ぶり5度目の夏甲子園出場は、場内にも流れたTVインタビューで河本 浩二監督が「精神的に成長してくれた」と話した通り、心をつないでの快挙であった。
(レポート=寺下 友徳)