高知vs高知東
手負いの高知を救った新星左サイド
高知大会直前まで部員同士の暴力事件により1ヶ月の対外試合禁止処分期間にあった高知。その影響は今大会初陣となる高知東戦の各所に表れていた。
打線は最速133キロのストレートと90キロ台カーブの緩急をうまく使った高知東先発・島田 龍二(2年・173センチ84キロ・右投左打・高知市立城北中出身)に翻弄され、5回表まで3安打無得点。先発の中屋 友那(3年・180センチ73キロ・右投左打・高知中出身)もストレートが最速133キロにとどまる苦しい投球が続き、4回裏には高知東5番の細川 晃志(3年・左翼手・177センチ66キロ・右投左打・高知市立愛宕中出身)に完ぺきな当たりでの右中間三塁打を浴びることに。
高知はさらに一死後、浅い中飛での本塁送球にセンバツ直前の左足首骨折に伴い、これが昨秋四国大会以来の公式戦出場となった島内 優成(3年主将・捕手・173センチ73キロ・右投右打・高知中出身)が痛恨の後逸。試合は高知東が先制して後半戦に入る意外な展開となった
反面、投手陣は苦しんだ。中屋は7回裏無死からの連続四死球で降板。続く森 聡希(2年・170センチ80キロ・左投左打・琴平町立琴平中<香川>出身)も連続四球を与え押し出しとすると、併殺と5番・細川の中前打で計3点を失う。続く8回裏にも失策が絡んで1点を失って6対5となり、なおも二死一・二塁の大ピンチ。ここで高知・島田 達二監督は大きな決断を下す。3番手のマウンドに立ったのは大会直前に追加登録された背番号「16」・2年生左腕・北山 康生(166センチ55キロ・左投左打・三田リトルシニア<兵庫>出身)であった。
いきなり緊迫した場面が公式戦初マウンドとなった北山。が、変則の左サイドから投げ込まれる球筋は、高知東打線を大いに困らせた。8回裏を右飛で打ち取ると9回表には無死満塁から途中出場の7番・公文 幸汰(2年・右翼手・170センチ74キロ・右投右打・高知中出身)が左越3点二塁打を放って9対5。これで試合は決まり、北山は最終回も1安打のみで締めて高知を勝利に導いた。
かくして課題山積の中に見えた「北山 康生」という光明。高知は大会の1試合1試合を成長の場へ転化し、8年ぶりの夏甲子園出場を目指す。
(レポート=寺下 友徳)