八幡浜vs北条
これぞ「高校野球」。八幡浜、北条に競り勝ち済美との決戦へ!
2時間14分の間、目を離すところが全くない素晴らしい試合であった。
八幡浜は1回表に一死二塁から3番・石田 翔大(2年・左翼手・168センチ68キロ・右投左打・八幡浜市立愛宕中出身)の右前打で先制すると、2回表にも一死二塁から9番・山脇 颯太(3年・捕手・170センチ75キロ・右投左打・八幡浜市立愛宕中出身)が遊撃手頭上を抜く適時二塁打。鮮やかな先制攻撃で最速143キロ右腕・田中 大成(3年主将・182センチ80キロ・右投右打・八幡浜市立八代中出身)を援護。田中もストレートに強弱を付けながら5回裏まで0を並べた。
しかし、1996年夏・松山商を全国制覇に導いた澤田 勝彦監督が就任して9年目を迎え、今ではアップと気のキャッチボールから基本を徹底した野球が浸透している愛媛北条も、グラウンド整備を号令に反撃に移る。6回裏に二死一・三塁とすると、7番・藤村 勇輝(2年・168センチ68キロ・右投右打・愛媛ヤングラディアンツ)は八幡浜・田中 大成のインコース寄りストレートに対し、腕をたたんで身体の回転を速くしてレフト線に落とす高い打撃技術を披露。見事な2点二塁打で同点に追い付くと、先発の村上 純大(3年・177センチ74キロ・右投右打・今治市立日吉中出身)も、3回からの5イニングは被安打1・四死球1・奪三振1で残りの14アウト中9アウトをゴロで打ち取る好投で、試合を作った。
土俵上でがっぷり四つで組み合う両校。そんな試合を動かしたのは八幡浜の好走塁であった。二死後、中前打で出塁した4番・山脇 康成(2年・一塁手・172センチ75キロ・右投右打・八幡浜市立愛宕中出身)は、次打者・田中 隆之介(2年・三塁手・172センチ68キロ・右投左打・八幡浜市立保内中出身)の右前打で三塁へ。相手右翼手がボールをわずかに逸らす間にホームを突いた山脇 康成は間一髪でホームを掃いた。
そして最後を締めたのは八幡浜の千両役者である。9回表、豪快にレフトスタンドへ大会第9号を叩き込んだ7番・田中 大成は、投げても9安打を浴びながら4四死球5奪三振2失点137球完投。最後の最後までファイティングポーズを取り続けた愛媛北条をくだした八幡浜は、3回戦で昨年覇者・済美の壁に挑む。
(レポート=寺下 友徳)