試合レポート

専大松戸vs流通経済大柏

2018.05.06

サイドに変えて20キロスピードアップ!専大松戸の横山が完投勝利で2年連続の関東大会へ

専大松戸vs流通経済大柏 | 高校野球ドットコム
完投勝利の横山(専大松戸)

 流通経済大柏vs専大松戸の東葛地区同士の対決。

 流通経済大柏は3回表、専大松戸の先発・横山陸人(2年)を攻め立て、3番野原 海玲夢(3年)が右前安打で出塁すると、4番最上谷波留(3年)が左中間を破る適時二塁打で1点を先制。最上谷は1年夏からレギュラーを獲得した右の強打者だが、ここしばらくは試合出場がなかった。この日の長打は復活を印象付ける一打となった。さらに二死二塁から、6番寺島 広大(2年)の二塁打で、流通経済大柏が2点目を入れた。

 だが、専大松戸も3回裏、2番金井が三塁打を放ってチャンスメイク。ここで流通経済大柏は先発の名田 総司(3年)を一塁に移し、2番手に千葉嵐(2年)を投入する。

 替わった千葉から専大松戸の3番・昆野 海翔(3年)が痛烈な左前適時打を放ち、1点を返す。そして5回裏、二死二塁から3番昆野が再び左前適時打を放ち、同点に追いつく。

 ここで流通経済大柏は3番手に左腕・長崎瑠偉(2年)が登板。しかし4番今里凌(3年)に対し、ストレートの四球を出し、打者一人で交代。背番号1の岡本遼(3年)が登板し、後続を抑え試合は後半戦に。

 6回裏、流通経済大柏は5番手に前日の千葉敬愛戦で3回7奪三振無失点の好リリーフを見せた高坂綾(3年)を投入し、勝負に出る。高坂はこの日も常時130キロ後半、最速142キロを計測するなど好調をキープ。125キロ前後のスライダー、フォークの切れ味も抜群で、簡単には打ち崩せないように見えた。

 高坂を相手に専大松戸は力でなく、小技で点をもぎ取る作戦に出る。先頭の岩渕 正剛(3年)が四球で出塁すると、盗塁、パスボールで三塁へ進み、スクイズで勝ち越しに成功する。

 専大松戸の先発・横山は後半になってさらに投球が冴えわたる。横山は春の地区予選まではアンダースローで投げていた投手。しかも地区予選の市立松戸戦では5回参考記録ながらノーヒットノーランを達成している。

 ここで地区予選の投球フォームと県大会の投球フォームの比較写真を掲載するが、違いは一目瞭然だ。

専大松戸vs流通経済大柏 | 高校野球ドットコム
左が県大会の投球フォーム、右が地区予選時の投球フォーム

 驚きはフォームの変化だけではない。ストレートの球速も大きく上がっている。アンダーハンド時の球速は110キロ台だったが、右サイドにしたとたん、130キロ~136キロと、平均球速が15キロ~20キロ以上もアップ。短期間でフォームをがらりと変える投手がいても、これほど球速が上がる投手は見たことがない。

  さらに球質もよく、手元で浮き上がるような速球で、流通経済大柏打線を翻弄。アンダースローでボールをぎりぎりまで隠すことを覚えたのか、出どころが見にくくになっている。また、マウンド捌きにも変化が出て、地区予選では淡々と投げていたが、この試合では三振に打ち取るたびに雄たけびを上げるなど気合が入った姿も。

 さらにスタミナ面でも進化を見せ、終盤になってもストレートの球威は衰えることなく、9回裏でも、135キロを計測。10安打を浴びながらも、2失点完投勝利で2年連続の関東大会出場に貢献した。

 地区予選で、専大松戸の持丸監督は「今年は投手が課題なんですよ」と語っていたが、横山がその課題を解決する活躍を見せた。前日の中央学院戦では、背番号17の武田 龍信(3年)が完投勝利と、多くの投手が結果を出し、目途が立ってきた。あとは昨夏から活躍を見せてきた速球派右腕・古川 信之介(3年)の復活や、1年生投手の台頭のめどが立てば、かなり充実した布陣となるだろう。

 一方、敗れた流通経済大柏は先発投手が投げ、最後に高坂がリリーフとして投げる継投リレーがはまり、ベスト8まで勝ち進めることができた。しかし夏を見据えると、リリーフで短いイニングとは言え、高坂が連投することはできるだけ避けておきたい。実際にこの試合も前日の試合と比べ、平均球速は落ちていた。強豪との対決で接戦の試合展開になっても、高坂以外の投手が長いイニングを投げ、温存できる形にしたいところだろう。夏までの流通経済大柏が投手運用をどう整えていくのか、注目したい。

(文・写真=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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