試合レポート

三重vs星稜

2018.04.02

 第90回選抜高等学校野球大会10日目。ベスト4進出最後の枠をかけた第4試合は、2回戦で日大三(東京)、3回戦で乙訓(三重)を破り、26年ぶりのベスト8を果たした三重(三重)と2回戦で富島(宮崎)、3回戦で近江(滋賀)を破り、23年ぶりベスト8入りの星稜が激突。

 試合は序盤からシーソーゲームとなった。2回表、三重(三重)は8番・山本 大雅(3年)の適時二塁打、1番・梶田 蓮(3年)の大会通算18号2ラン本塁打で3点を先制。対する星稜もその裏に8番・東海林 航介(2年)がセンターへの2点二塁打を放った。3回表、三重(三重)は内野ゴロと犠飛に続き梶田、浦口 輝(3年)の連続適時打で7対2とするも、星稜は3回裏に5番・山瀬 慎之助(2年)、6番・奥川 恭伸(2年)の連続適時打。6回裏にも1番・南保 良太郎(3年)の適時打で5対7と2点差とした。

クライマックスは終盤に訪れる。7回表、三重(三重)は1番・梶田のこの試合4打点目となる適時打と3番・曲 孝史朗(3年)の適時打で9対5と突き放したかに見えたが、星稜も7回裏に7番・鯰田 啓介(3年)が適時打。8回裏、星稜は敵失で1点を返した後の二死満塁から6番奥川の2点適時打で9対9とついに試合を振り出しに戻すした。

 ただ、最大5点差を追いつかれても三重(三重)は慌てなかった。9回表、3番曲の適時打で勝ち越しに成功すると、打者10人の攻めで5得点。9回裏は3番手の定本 拓真(3年)が星稜打線を三者凡退に抑え、三重(三重)が49年ぶりの選抜ベスト4を決めた。

 なお、なお、準決勝に進出した三重(三重)は大会11日目・第2試合で大阪桐蔭(大阪)と対決する。

三重を救った「匠の」リードオフマン・梶田 蓮

 両チーム合わせて計26安打が飛び出た打撃戦を制した三重。その中でひときわ存在感を示していたのが、7打数3安打4打点をマークした右投左打のリードオフマン・梶田 蓮(3年)である。170センチ65キロと細身ながら昨秋の三重県大会では菰野の最速150キロ右腕・田中 法彦(3年)から3安打をマークしたバットコントロールは、49年ぶりのベスト4入りをかけたこの大舞台でも健在だった。

 中でも特筆すべきはトップに入ってからのインパクトまでの無駄のない動作である。
右足を上げてから、体を捻りすぎることなく、トップの動作に入る。この時、梶田は両腕が体の奥に入りすぎず、真っすぐに捕手方向に引く。これが振りだしからインパクトまでロスのないスイング。140キロ以上の速球に対しても振り遅れることなく対応することができる理由だ。

 センバツでも梶田の打棒は好調である。初戦の日大三戦では147キロ右腕・井上 広輝(3年)から右前安打すると7回裏には1左腕・河村 唯人(3年)の136キロストレートも中前適時打し4打数2安打。3回戦の乙訓(京都)戦こそ4打数1安打に終わったものの、連戦となった準々決勝では第2打席で、星稜先発・竹谷 理央(3年)が投じた内角直球に対し、両肘を畳んで振り抜き大会17号となる本塁打。修正能力の高さも一発回答で示していた。

 準決勝の相手は優勝候補筆頭・センバツ連覇を期す大阪桐蔭根尾 昂(3年)、柿木 蓮(3年)といった140キロを悠々と超えるスピードボールに対し、梶田がいかに対応できるか?その成否が三重にとって2014年夏決勝で敗れて以来の甲子園対決となる大阪桐蔭戦の大きなポイントになるだろう。

 大阪八尾ボーイズ出身の梶田 蓮が故郷の代表相手に魅せる男の意地。その意地をリベンジに変えることができれば……。三重の49年ぶり「センバツベスト4」は49年ぶり「センバツ優勝」へと化学変化するに違いない。

(文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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