愛知産大三河vs松平
昨秋県大会準優勝の愛産大三河、気負いなく今春の初戦を突破
松原絃介君(愛産大三河)
前日からの雨が朝まで残って、グラウンドコンディションは決して良くはなかった。中止の可能性も70%以上あったという状況の中で、それでも、何とか日程をこなしておかないといけない…、という思いもあって愛産大三河の部員たちが丁寧に砂入れ作業などを行って、予定より2時間遅れで試合が行われた。
お互いにこの日が、この春の公式戦初戦ということになったのだが、「正直言うと、絶対勝たないといかんというプレッシャーのある西三河の予選の方が、県大会よりも戦いにくいし選手たちも、それを意識してか硬いんですよ」と、愛産大三河の櫻井春生監督は言うが、なるほど、この日の試合も入り方は何となく硬いのかなという印象の愛産大三河だった。
初回は、先頭の石川颯君が四球で出たものの、攻めきれなかった。それでも、2回には相手失策と下位の佐々木大君、眞河君、高橋大地君の3連打などで3点が入った。さらに3回には、注目の4番上田君のクリーンヒットに始まって連続四球で満塁とすると、佐々木君の左前タイムリーと9番高橋大地君の左越二塁打などで4点。
愛産大三河は6回にも、松原君と高橋君の巧みなバント安打と犠飛などもあって加点し、最後は1番石川颯君が左越二塁打して10点差となり、コールドゲームが成立した。
結果的には6回で終わった試合だったのだが、力でねじ伏せたという印象はなかった。そのあたりは、櫻井監督も百も承知というか、十分認識している。
「ウチの戦いはいつもこんな感じですから。投手も、抑え込んではいなくて、打たれながらも、何とか抑えていくという感じです。今日は相手の投手が制球で苦しんだので点が入りましたけれども、初回のような投球をされたら、そんなに点は入らなかったと思いますよ。でも、こうして試合をしながら(チームを)作っていくという感じですね」
格上でも、どんな相手でも、比較的接戦が多いという愛産大三河。選手の能力で勝って行くというよりも、上手に点を取っていく野球を展開していく。それが愛産大三河の持ち味でもあると言えよう。
メンバーがギリギリの10人で戦った松平は、左腕の加藤圭悟君がすべてという感じだったが、「抑えなければ…」という思いがあったのだろうか、意識しすぎると、制球が乱れてしまい、苦しくなる。そして、ストライクを取りに行ったところを打たれるというパターンで失点していってしまった。
(文=手束 仁)