大阪桐蔭vs京都翔英
藤原、根尾がアベック本塁打 大阪桐蔭が投打で圧倒
本塁打を打った藤原恭大(大阪桐蔭)
4年連続で選抜出場を目指す大阪桐蔭が近畿大会初戦を迎えた。西谷浩一監督も「こんなに土日が雨で中止になったのは記憶にない」と話すぐらい、長い中止だった。雨だと、練習試合の調整もできない。試合がない日は紅白戦などをして、過ごしてきたようだ。「確かに難しいところはありますが、それはどのチームも一緒ですからね」というように、日程が開き過ぎたことを言い訳せず、着々と準備を重ねた大阪桐蔭ナイン。
初回からしっかりと得点を重ねる。2番青地斗舞の二塁安打、3番中川卓也の右前安打で一死一、三塁のチャンスを作った大阪桐蔭は、敵失で1点を先制。その後、6番井阪太一の適時打、7番宮崎仁斗の犠飛で3点を先制。さらに、2回表には藤原恭大が打った瞬間、本塁打とわかる豪快な本塁打で4対0と点差を広げる。藤原は長い間、打撃面の不調にあえいでいたが、ようやく藤原らしいフルスイング。「結果を出したい気持ちがいっぱいで、打撃が小さくなっていた」と語るように、どうも夏の大阪大会、U-18で見られたコンパクト且つ強いスイングではなかった。西谷浩一監督は「技術どういうより考えすぎ」というように、精神的な迷いがスイング動作に影響を及ぼしていたのかもしれない。今回の本塁打は久々といえるぐらいフルスイングだった。
さらに3回表には藤原が落ちる球にうまく合わせて右前適時打。さらに連続押し出しなどもあり、7対0と点差を広げ、5回表には根尾昂が2ボールからの3球目。スライダーを逃さず、ライトスタンドへ飛び込む本塁打を放つ。根尾は「相手投手が変化球中心で、2球目までスライダー。完全に狙っていました。打った週間、ヘッドが走った感じだったので打つことができました」と手ごたえ十分のあたりは高校通算19号本塁打となった。ここにきて根尾の打撃はさらに磨かれている。この日、遊ゴロは1つもなく、なかなか見せ場がないが、遊撃手としても、打者としても、根尾ほどのレベルを持ったショートは今年の高校生ではいない。高校生ナンバーワンショートとして注目していいレベルとなった。
その後、打線の勢いが止まらず、大阪桐蔭は15安打12得点の猛攻でコールド勝ちを決めた。7回無失点9奪三振に抑えたエース・柿木蓮。「ボールの走りは全くよくなった」と振り返るように、球速は常時130キロ~136キロ。140キロが2球、142キロが1球にとどまり、140キロ台を連発していた夏と比べると明らかに調子が悪い。柿木によるとうまく右肩を回らず、うまく投げられないのが要因のようだ。それでも勝てるピッチングができるのはさすがだ。ただ、全国で勝つには、夏よりパワーアップした姿を望んでいるはず。この秋、不調ながら勝つピッチングを覚えていきたい。
敗れた京都翔英はベンチ入り18人中、14人が1年生という若い集団。力の差を見せつけられた形となったが、1年生がほとんどということを考えると実力は悪くない。エース・遠藤慎也(1年)は、130キロ前半のストレート、フォークのコンビネーションで勝負する投手。2番手・今井大志(1年)も、ストレートのスピードは、125キロ前後だが、ストレートのスピードと変わらない縦スライダーやチェンジアップ、スライダーで勝負する技巧派。だが変化球中心のピッチングが根尾に本塁打を打たれるきっかけとなった。よりストレートを磨いていきたい。
(文=河嶋 宗一)
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