試合レポート

鹿児島情報vs鹿児島

2017.09.25

要所で「らしさ」発揮・鹿児島情報

鹿児島情報vs鹿児島 | 高校野球ドットコム

鹿情報・新山2ラン

 鹿児島市内大会3位でシード権を取った鹿児島情報に、夏準優勝の主力メンバーを多数擁する鹿児島との対戦は、初戦で対戦させるにはもったいない好カードだ。雨による影響もあって互いにミスもあり、新人戦らしい先の読めない展開ではあったが、要所で「らしさ」を発揮した鹿児島情報が競り勝った。

 試合開始から雨が降り続き、どこかで大降りになればノーゲームになってもおかしくない雰囲気の中で、一度も中断になることなく、2時間21分の熱戦が繰り広げられた。

 鹿児島情報は初回、1、2番が2球で2アウトになったが、3番・西山瑞希(2年)がライト前ヒットで出塁し、4番・新山太晟(2年)がレフトスタンドに特大2ランを放ってチームを勢いづけた。

 4回には7番・西龍司郎(2年)がレフトオーバー二塁打を放ち、リードを4点に広げた。

 劣勢を強いられた鹿児島もその裏、二死から6番・小村亮太(1年)のセンター前ヒットを皮切りに、4連打を浴びせて3点を返し1点差に詰め寄った。

 6回、鹿児島情報は3番・西山のライトオーバー三塁打などで4点を加えリードを広げる。

 終盤は鹿児島がようやく本領を発揮して追い上げたが、鹿児島情報が逃げ切った。

 今年の鹿児島情報の持ち味は足を生かした機動力と打力にある。打力では、松永遥平(2年)―上之薗太雅(2年)の夏準優勝バッテリーから、新山の2ランをはじめ5本の長打を含む10安打を浴びせた。この点に関しては「雨で投げにくかった分、晴れていたらまた違った展開になっていたでしょう」と図師賢剛監督も半信半疑の様子だ。


 機動力に関しては、雨でグラウンドがぬかるんでいた分、こちらも十分発揮できたわけではない。ただ6回の攻撃では高い走力で大きく勝機を手繰り寄せたように個人的には思えた。

 グラウンド整備後の6回、先頭の西がレフト前ヒットで出塁。8番・沖田龍之丞(1年)、9番・森太護(1年)は水を含んで重くなったグラウンドを利用した連続バントを仕掛ける。森のバントが野選を誘い、チャンスが一三塁と広がった。1番・本村優貴主将(2年)が犠牲フライを放ち、2点差とする。

 なお二死一二塁と畳みかける好機で、記録に残らない好走塁があった。松永の絶妙な二塁けん制で二走・森が三遊間で挟まれる。森と一走・山口遼太(2年)が二塁ベース上で重なりかけたが、山口は森がベースに着くと同時に一塁に戻り、挟殺プレーに参加しようと一二塁間の中間あたりにきていた一塁手の背後に抜け、誰もいない一塁ベースに戻ることができた。

 ここで森か山口、どちらかがアウトになっていれば、続く西山のライトオーバー三塁打は生まれていない。そうなると点差は2点のままで、先の展開がどうなるか、分からないだけに隠れた好走塁だったといえないか。

 「セーフになったのは相手が一塁ベースを空けるミスしてくれたおかげ。あの場面ではタッチされないよう無我夢中で逃げただけ」と山口。2人ともアウトにならなかったのは、意図したものではなかったが「1番から9番まで全員足が速くて、足を生かしてそこから打撃につなげるのがうちの持ち味。走塁練習はいつもやっている」(山口)鍛錬の成果ともいえる。

 9、1、2番は「前チームから試合に出ており、よく機転を利かせてくれた」と図師監督。悪条件の時こそ、地道な日頃の積み重ねがものをいう。そんなことを感じさせた。

(文=政 純一郎

鹿児島情報vs鹿児島 | 高校野球ドットコム
注目記事
2017年秋季大会 特設ページ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.12

学法石川の好捕手・大栄利哉が交流戦で復帰! 実力は攻守ともに世代トップクラス!身長200センチ右腕を攻略し、完封勝利!

2024.05.12

【春季新潟県大会】プロ注目右腕・茨木佑太が完封!元プロの芝草監督は素材、メンタル面も絶賛!

2024.05.12

プロ注目の200cm右腕・菊地ハルン(千葉学芸)がセンバツ出場校との交流戦でまさかの7失点…夏までの課題は?

2024.05.12

【春季京都大会】センバツベンチ外の西村がサヨナラ打!新戦力の台頭目立つ京都外大西が4強進出

2024.05.12

【奈良】天理が決勝最多18得点で圧勝!13年ぶりに春の頂点に<春季大会>

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在28地区が決定、長野では松商学園がノーシードに

2024.05.07

【鹿児島】神村学園は昨秋4強の鶴丸と初戦で対戦<NHK旗組み合わせ>

2024.05.07

【山陰】益田東と米子松蔭、鳥取城北が石見智翠館と対戦<春季大会組み合わせ>

2024.05.07

【北海道】函館大有斗、武修館などが初戦を突破<春季全道大会支部予選>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>