竜ヶ崎一vsつくば国際大東風
序盤の攻防を制した竜ヶ崎一が快勝
土浦対決に続いて、地元の人気校の竜ヶ崎一登場とあって、スタンドはほとんど移動することなくそのまま満員状態だった。過去、春夏合わせて通算10回(春1回、夏9回)の甲子園出場実績がある竜ヶ崎一である。いわゆる「竜一ファン」と言われる人も、中高年以上を中心に多く存在する。また、多くの高校野球指導者を県内外に輩出させているということでは、高校野球界にも貢献している名門校である。
対するつくば国際大東風は大学そのものは1994(平成6)年に、理学療法士などを要請する医療保健学部や食と栄養の専門家を育成する保険栄養学科などの大学として設立された。そして、98年につくば国際大附属千代田校が設立され、09年に独立した現校名の学校となった比較的フレッシュな学校である。「東風」と書いて「はるかぜ」と読む。
今年は、最速140キロ超をマークしたこともあるというエースの佐賀 史宗君がおり、勢いづけばダークホース的な存在になっていくのではないかという声もあった。元々は捕手だったものを、桜庭 裕也監督がキャッチボールを見て、投手にコンバートして、その素質が花開いたのだった。しかし、この日の試合は2回の攻防でほぼ流れが決してしまったかのようになってしまった。
この回、竜ヶ崎一は4番三谷 俊介君がチーム初安打を右前に放つとバントと内野ゴロで三塁へ進む。ここで7番増田 光一朗君が左中間二塁打で帰す。さらに四球後深水 塁君が三塁線を破ると、増田君が帰り2点目。なおも四球もあって二死満塁となり、2番萩原 慶大君が右前打してこれが2点タイムリー。さらに、力んだのか佐賀君の暴投もあってこの回5点と大量点が入ってしまった。
このリードで、高橋 基成君は自分のペースで投げることができた。ピシャリと抑え込んでいくというものではないが、走者を出しながらも、要所はきっちりと抑えていくというタイプである。それだけに、いわば、その持ち味が十分に出ていたといってもいいであろう。
反撃したいつくば国際大東風は3回以降は、毎回安打を放っていくものの、結局は塁審に打球が当たった内野安打を含めて3安打が集まった5回に何とか1点を返したにとどまった。
逆に、竜ヶ崎一はその直後の6回、失策絡みで背得た好機に、またしても2番の萩原君がタイムリー打して2者を返す。萩原君は、2番打者ながらもこの日は4打点。つなぎというよりも、試合を決めていく役割を果たしていた。1番鴻巣理久君が4打数3安打、萩原君が4打数2安打で4打点。クリーンアップがもう一つ爆発しなかった竜ヶ崎一だったが、それでもそつなく得点を重ねていったのはさすがである。
就任2年目となる津脇 義明監督は、昨年夏もベスト8に導いている。地道ながら、古豪が一つひとつ復活への歩みを進めているようである。
(文=手束 仁)
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