船橋北vs日大習志野(延長引き分け再試合)
地区予選とは思えないハイレベルな投手戦!お互い譲らず再試合に!
投げ合いを演じた塩澤廉(船橋北・左)、木原基秀(日大習志野・右)
千葉県一次予選は雨天により順延続き。12日は久しぶりの快晴の中、各地で熱戦が繰り広げられた。
先制したのは船橋北。1回裏、一死三塁から3番石田海斗(3年)の適時三塁打で1点を先制すると、さらに3回裏には石田の適時打で2対0とする。石田は投げても好投。左腕から125キロ前後のストレート、110キロ前後のスライダー、100キロ前後のカーブ、105キロ前後のチェンジアップを低めに集めることができる好左腕。内外角への制球力も長けて、投球のテンポも良い。打っても3番とまさに投打の中心選手だ。石田の好投で、2対1でリードしていたが、7回表、日大習志野が敵失で同点に追いつく。
日大習志野は6回裏から登板したエースの木原基秀(3年)が好投。木原は昨夏からエースとしてマウンドに登っている投手だが、当時の球速は、120キロ台。昨夏、4回戦で東海大市原望洋に敗れたが、エース・島孝明(現・千葉ロッテ)の常時140キロ台後半の速球をベンチから目の当たりにして、「絶対に変わってやろうと思いました」と肉体改造を決意。多いときは1日6食食べるなど、食事トレーニング。昨夏まで174センチ58キロだったが、現在の身長はそのままで、12キロ増量の70キロまでアップ。「球の勢いは自分でも変わっていると実感しましたと木原の言葉通り、昨年よりも直球は、10キロ近くスピードアップし、この試合では、常時120キロ後半~常時133キロ(最速135キロ)を計測。
それができるのは、体重増加に加えて、投球フォームの良さが挙げられる。木原はしっかりと左足を上げてから、真っすぐ踏み出し、内回りのテークバックから指先にしっかりと力を伝えたリリースができるため、コントロールされた130キロ台のストレートを投げることができる。110キロ前後のカーブ、120キロ前後のスライダーと各種の変化球の精度も高い。特にスライダーは「いつでもストライクが取れる」と絶対的な自信を見せる。お互い決定打が出ないまま延長戦を迎える。
船橋北は背番号1の塩澤廉(3年)がマウンドに。塩澤は183センチ81キロと実に恵まれた体型をした大型右腕。投球フォームも独特。ワインドアップからゆったりと始動し、左足を高々と上げていき、右足はヒールアップする。そこから投げるまでにワンテンポずらした動きができており、さらに真っ向から振り下ろすフォームのため、タイミングが取りにくい。塩澤は、上背の割りにボールに勢いがないと自覚し、指導者の勧めで現在のフォームにいきついた。直球の球速は、最速130キロ後半まで投げられるようだが、しばらく雨で順延が続き、あまり投げ込みができず、球速は125キロ~130キロ程度。だが角度もあり、打者かすればそれ以上の球速を感じるのだ。またスライダーも手元で小さく曲がるもので、なかなか打ちにくい。
一方、木原は延長になってからも、「技術どうこうというより、気持ちで投げた」と気迫溢れる投球。延長11回裏に5番菅谷から空振り三振を奪ったストレートは最速135キロを計測。延長になってからも、130キロ台のストレートと鋭いスライダーをコントロールできていた。
お互い試合が決定打が出ないまま、延長15回。日大習志野は二死満塁のチャンスを逃し、船橋北は二死二塁から安打が出て、サヨナラを狙うも、本塁打でアウト。延長引き分け再試合となり、13日9時から[stadium]習志野秋津球場[/stadium]で行われることとなった。
木原は「疲労は当然あります。しかし気合で投げてみせます」と再試合へ向けて意気込みを述べ、塩澤も、「自分が投げてとにかく勝ちたい」と決意を固めた。
2人とも県内では好投手として推せるほどの投手。どちらが地区予選で負けてしまうのは、勿体無いと感じさせるほど。ぜひ再試合でも手に汗握る一戦を期待したい。
(文・写真=河嶋 宗一)
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